約 3,642,997 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/133.html
ゆっくりれいむと妹紅は、並んでれいむのおうちへと向かっている。 先ほどのゆっくりの言葉を確かめるため、今すぐにもかけだした妹紅だが、案内役のゆっくりれいむは下が焼かれてはねるたびに痛むらしい。 ずりずりと草むらを這いずりながら、妹紅にせっつかれて前に進んでいく。 「ニンゲンの赤ちゃんって、食うために今度はさらってきたのか?」 妹紅の問いかけに、ひいひいあえいでいたゆっくりれいむは目を見開く。 「赤ちゃんを食べるなんて、どうじでニンゲンはそんなひどいことかんがえるのおおおおお!」 なぜか、妹紅が逆にしかられた。 「いや、だってお前くっただろう!」 もう一度、あぶってやろうかと気色ばむ妹紅。 けれど、次のゆっくりの言葉は妹紅の殺気を削ぐものだった。 「ちがうよおおお、赤ちゃんはあんなにゆっくりできるのに、たべたりしないよお」 「ゆっくりできる?」 「うん! 笑ったら、だあだあ笑い返してくれるし、ゆっくりしてねとお願いしたらきゃきゃっと笑ってくれるの。すっごく、かわいいんだよ~♪」 体を揺らしながら、とろけそうな笑顔を真っ赤にするゆっくりれいむ。 「……じゃあ、どうして赤ちゃんを飲み込んだんだ? 知っているんだぞ、お前が四日前、人里で赤ん坊を飲み込んでいたことを」 「ゆっ! その赤ちゃんのことだよ! 口の中に入ってきた赤ちゃんのことだね。赤ちゃん、怪我したらいけないもん! お口にいれて危険から守ってあげないと!」 妹紅は沈黙した。 ゆっくりれいむが言うがまま、推理を組み立てる。 はいはいを覚え、あちこち興味が赴くまま這い回る赤ちゃん。そこに通りかかったゆっくりの口に、何かの偶然で入り込んだ赤ちゃん。赤子の様子に、ゆっくりの母性が刺激されたのだろう。所有権という概念があまりないゆっくりは、その場に「落ちていた」赤ん坊を拾ったものとしてもちかえる。なぜ、母親に口に入れたことを「食べた」と言ったのかはよくわからないが、ゆっくりの語彙の少なさは誰しもが知るところ。 まあ、どちらにしろ、迷惑極まりない話ではあるのだが。 しかし、子供が生存して取り返せる可能性がでてきた。 食われてる結末に比べて、はるかにマシな状況だ。 助けることができれば、あの母親はどれほど喜ぶだろう。 「しかし、お前のでかさだと赤ん坊は食いごろサイズなのによく我慢できたな」 言いながら頭をなでてやると、ゆっくりれいむは初めて妹紅に笑顔を向ける。 「当然だよ! にんげんさんも一緒にお話できたり、ゆっくりできる相手を食べたり、殺したりしないよね!」 ああ、そうだと言えればどれほど幸せな千年間だったのだろうと、妹紅は人の世で過ごしてきた時間を回想する。 が、興味深そうなゆっくりれいむの視線を感じて、慌ててごまかすように次の疑問を口にした。 「ところで、何を食べさせていた?」 「れいむたちと同じものだよ、おいしそうな草とか、虫さんとか! でも、食べてくれないの……」 「なっ!」 ようやく離乳食が終わったばかりの子供に、そんなものが食えるわけがない。 そうなれば、赤ちゃんは空腹のままもう四日目。衰弱の予感に、さらにゆっくりれいむを急がせる妹紅だった。 「そこだよ!」 ゆっくりれいむの声が示す方向を見ると、巧妙に藪に隠された巣穴が広がっていた。 「わかった!」 妹紅は一足先に巣穴に乗り込む。 くさむらを蹴散らし、くらがりの中へ。 炎の一塊で洞窟内を照らすと、目的の赤ちゃんは目の前にいた。 「だああ」 はいはいをしてこっちによってくるその姿を見て、妹紅は全身が安堵に包まれる。 それに、予想に反して衰弱した様子はない。 しっかりとした所作で外からきた妹紅に向けて手をのばす。 その手を引き上げようとして、妹紅は気づいた。 赤ん坊の手のひらを真っ黒に染めたもの。べちゃべちゃの甘い匂いのする、餡子。 ぽとりと、その餡子から何かが床に落ちる。 肌色の何かが、ねじられていた。炎の光をうけて、金色の何かが光っている。そばに落ちている親指ぐらいの黒い帽子で、それがちびまりさの残骸だと妹紅は気づいた。 「あまあま……」 赤ちゃんは、その餡子を押しそうになめている。 そういえば、普通ゆっくりの住処に来たときにかけられる「ゆっくりしていってね」の声がなかった。 妹紅は炎の勢いを強め、巣穴の全体を照らす。 そして、何があったか理解した。 床には、上下に真っ二つにねじ切られて投げ捨てられてぴくりともしないゆっくりれいむの赤ちゃんと、後頭部を噛み切られて片目が飛び出した同じゆっくりれいむの赤ちゃんが震えていた。 後者の赤ちゃんはまだかろうじて生きていたのか、光に反応して「お゛お゛お゛お゛」とうめきだす。 残された片方の目から涙をひっきりなしにこぼして、ニンゲンの赤ちゃんを見つめていた。 「おねえちゃんに……どうじで……ごんなごどずるのおおおおお……」 「まんまー♪」 赤ちゃんの返事は届いたのだろうか。 白目からぼろぼろと涙をこぼしたまま、物言わぬ饅頭と化すゆっくり赤ちゃん。 おそらくは、空腹のあまり手近なゆっくり赤ちゃんをかじったところ、その甘さに手当たり次第に食いついたのだろう。ゆっくり赤ちゃんは1歳児の膂力にすら抗えないし、ニンゲンの赤ちゃんを妹のように感じて予想だにしていなかったのか、説得しようと踏みとどまったのか、一匹も逃げきれたものはいなかった。 「あ゛っ、あ゛っ、あ゛っ! なんなのおおおおお、ごれえええええええええ!!!」 背後からの悲鳴。 振り向くと、ゆっくりれいむがぶるぶると震えて、地面に散らばるわが子を見つめていた。 その視線が不意に、妹紅の前にいる赤ちゃんの手のひらをみて、凍りついた。 「なんでえええええ、おねーちゃんだちを、たべだのよおおおおおおおおお!!!」 まずいと、妹紅は前に進み出る。 同時に、すさまじい衝撃が妹紅の体にたたきつけられていた。めきめきと背骨が鳴る。 激昂したれいむが、怒りのままに体当たりをしかけていた。 「あやまってえええええ! れいむのあかぢゃん、もどにもどじでええええええええ!!!」 妹紅にはどうにもできないことをいいんがら、無言の妹紅へと、二度、三度。さらにとどまる様子もなくぶちあたるその巨体。 「かはっ……」 妹紅は唇を伝う血の一筋に、体のどこかがやられたことを悟っていた。 だが、れいむを焼きはらおうとは思わない。 なぜなら、れいむの慟哭はこの子の親と同じものだったから。 この子は無事帰ることができるが、れいむの赤ちゃんはもういないのだ。 自分の安い命でよければ、気がすむまでれいむに付き合ってやろうと、心に決めていた。 もう、何度目か数えてもいない衝撃に目を見開く妹紅。その見下ろす先には、かばわれている赤子の不思議そうな瞳。 お前さんには罪はないんだと、にっこり微笑んでやる妹紅。 すると、笑顔に合わせてにっこりと笑い返す赤子。 そうして、おぼつかない口元で言った。 「ゆっくり……ちていってね!」 妹紅は驚愕した。まだ、この子は言葉が話せなかったはず。初めて話す言葉は、この洞窟でゆっくりれいむやその子供たちに話しかけられた言葉。 気がつけば、ゆっくりれいむの襲撃が止んでいた。 振り返ると、ゆっくりれいむはただ涙を滝のように流して、赤ちゃんを見つめていた。 そのまま、ずりずりと床にちらばるわが子の前にすすむと、体を弛緩させてぶるぶると震えだした。 「もう、かえって……あかちゃん、ゆっくりねむらせてあげてね」 嗚咽交じりの声に、妹紅は返す言葉を失っていた。 言われるがまま、赤子を抱えあげて洞窟をでていこうとする。 洞窟の出口付近で、ゆっくりれいむが声をあげて泣き始めた。 ふりむくと、あの巨体がまるでしぼんだように小さく見える。 妹紅は赤ちゃんと胸をしめつける罪悪感を連れて、静かにその場を後にした。 子供の帰還は、まるで収穫祭のような大騒ぎとなった。 「あっあっあっ!」 弱りきり、自分が奉公している富農に付き添われていた母親が、泣きながらわが子をかき抱く姿を見届けて、妹紅は心から安堵する。 が、あのゆっくりれいむの様子を思い出すと達成感はまるでなかった。 「妹紅、ちょっと来てくれないか」 慧音の声に呼ばれて振り返ると、友人の前に居並ぶのは笑顔の村の重鎮たち。 妹紅は求めれるまま、ことの次第を報告する。 まずは見つけた場所を報告する。とはいえ、お母さんゆっくりの激昂などははしょる。村の重鎮の一人に、子供が食われたという一報があったときに周辺すべてのゆっくりの駆除を提案した人物を見つけたからだ。あの傷心の、二度と人に関わろうとはしないだろうゆっくりれいむはそっとしてやりたい。 今回の事件は偶然が重なったこと、再犯の可能性がないことを付け加えて、報告を終える妹紅。 間髪いれず、妹紅の意を汲んだ慧音の提案が続く。 「子供をさらい、危険に追い込んだことは許しがたく、その間、どれだけ母親が苦痛に苛まれたことか想像に尽くしがたい。よって生かしておくには後顧の憂いがあると、何事もなければ言えるだろう。だが、子を失うことで人の子をさらうとどうなるかわかっただろうし、何よりも哀れな話だ。それに、あのあたりは妖怪も出没する。村人をそんな危険にさらしてまで処理する案件ではないと思う」 人里の守護者、慧音は滅多の村の方針に口を出さない。 それだけにこの提案は重く、異議を唱える者はついにあわられることがなかった。 こうして、すべては丸く収まることになる。 少なくとも、この時の妹紅と慧音の二人はそう考えていた。 さらに雨脚の強まったその日の夜。 ぼんやりと雨音を聞いている、巨大ゆっくりれいむ。 その前には、きれいな石ころを積み上げた子供たちのお墓。取り囲むように、子供の遺品が並べられている。 ゆっくりれいむは遺品を眺めて子供の思い出にひたっていた。思い出す、しあわせだった日々。 しかし、幸せの追憶はさえぎられる。 気がつけば、光の一閃がれいむの巣穴に差し込んでいた。 ランタンの明かりが入り口から忍び寄り、ゆっくりれいむの注意を引いている。 「今はひとりでゆっくりしたいよ……」 れいむの力ない声は、そのランタンの持ち主を止めることができなかった。 あらわれたのほっそりした体の女性。 ランタンを地面に置き、近づいてくるその姿に、れいむは見覚えがあった。 赤ん坊の母親だった。 見覚えのある人間の登場に、れいむの目に生気が宿る。 「ゆ……れいむの……ううん、おねーさんの子供さん戻ったの」 頷く母親に、れいむは表情をやわらかくする。 「よかったね……」 心から、その言葉が言えた。 そのことに、微笑むゆっくりれいむ。 「何もよくないわよ」 だが、返ってきたのは母親の険のある声。 そのまま、つかつかと歩み寄り、子供たちをうめた石の小山を蹴り飛ばす。 「ゆ! なにするのおおおおお!」 子供たちはもう帰らない。なら、せめて自分のそばでゆっくりさせてあげたいゆっくりれいむ。 それだけに、母親の突然の行為が許せない。 第一、こんなことになった原因は…… 「そうだ! おねーさんが、赤ちゃんをれいむの口に押し込んだのが悪いんだよ!!!」 母親の顔が歪む。 急所だった。 れいむが妹紅か誰かに話していれば、すべての害意の源が明らかになる事実。母親の頼みにも関わらず、妹紅とかいう女がゆっくりをさっさと始末しなかったせいで、危うくぶちまけられそうになった真相。 それだけに、れいむの言葉は死への通行手形となった。 「ひどいよ、おねーさん! 飲み込まないともっと刺すって、れいむのほっぺたに意地悪したよね!」 母親はゆっくりれいむの前に立って含み笑いをこぼす。 「へえ、そんなゆっくり脳でも覚えていられるのね」 言うなり、背中に隠していた槌でぶん殴っていた。 叩きつけた瞬間、ぶべっと餡子が巣穴にはじけて散る。 「中身、やっぱり餡子なのね。本当に、ふざけた化け物」 かはっと、衝撃に目を白黒させるゆっくりれいむを、冷ややかな目で見下ろしていた。 おかげで、こいつと一緒にすべてを闇を葬らなければいけない。 槌を振り上げる母親。 振り下ろしながら、掛け声代わりに叫んでいた。 「そもそもは!」 「ぶぎっ!」 れいむの体が衝撃でたわむ。 「あんたが!」 「ぴゃぶっ!」 殴った形にへこんだ脳天に、何度も振り下ろす。 「きっちりガキを食っていれば……!」 「や、やめで……び、びぎゃあああ!」 殴りつけるたび、ぶぴぶぴと吐き出される餡子 もはや、見開いた目は飛び出しそうにまん丸で、目から耳から、穴という穴から餡子がぼとぼとと噴出している。 髪飾りは割れた頭頂部からもれる餡子にまみれ、殴り損ねた一撃で、ごっそりと髪がちぎり落とされていた。 母親はその姿に、少し気がまぎれたかのように笑い、すぐに般若の形相。 「ガキつれているとね! 富農のバカ息子と! 再婚できないのさ! あいつら、財産分与だ何だと難癖つけやがる!」 言葉を区切るたび、ゆっくりれいむの頭に槌が振り下ろされていた。 加減など欠片も無い、ただただ潰したいとばかりに振り切る。 「やめでええええ、ゆっぐりざぜでえええええ!」 「うるさいっ! 人の書いた絵図を台無しにしやがって……!」 不審を抱かれにくい「事故」により消える赤ちゃん。ゆっくりに赤ちゃんを処理させ、後は同情を引く母親を演じれば勝手に証拠のゆっくりが始末される。村中から同情を受ければ、金持ちとの結婚も傷ついた女性の面倒をみる美談ともなるだろう。 が、無事に子供が戻ってきて、すべてはご破算だ。 どれだけの手間をかけてやったのだと、殴りつけながら憤りが高ぶっていく。 当初の予定では子供を妖怪に食わせるつもりだった。だが、妖怪相手では自分をも食われる可能性があるし、妖怪退治に出張る巫女に勘付かれたり、妖怪が知性的ならば魂胆を見破られかねない。 そうして、得体の知れなさから「やりかねない」として選んだゆっくりだったのだが。 「せっかく、選んでやったのに……こんのおおお、役立たずがああ!」 「ぐぴゃあああああ」 もっとも痛烈な一撃だった。 噴水のように全方位に餡子を噴出す母ゆっくり。 母親はひいひいと荒い息をつきながら、目や耳から餡子を噴出し、もう痙攣して死を待つばかりのゆっくりに笑いかける。 「あのガキ、次は崖から落ちたことにしてやろうかねえ」 まるで、楽しい遊びを思いついたように母親が計画を口走った瞬間、死んだかのようなゆっくりが動いた。 餡子を吐きちらしながら、猛然と体当たり。 「ひゃ!」 見事に不意をついていた。 「げへえええええええ!」 すさまじい重量に倒れこむ母親。飛び上がったゆっくりれいむの体重に、震える地面。いや、洞窟全体がひどく揺れていた。衝撃で、ぽとりと入り口に落ちる土くれ。 その上に石がごろごろところがってくる。天井からはさらさらと砂の音。 長い間の雨に脆くなった岩盤。 そこへ止めを刺す母ゆくくりの振動が、今、巣を潰そうとしていた。 このままでは、双方生き埋めとなる。 起き上がろうと身を起こす母親。 が、起き上がれない。 「……あんた、離しさいよ!」 ゆっくりれいむが腰にのりあげ、張って進むこともできない母親。 「ねえ、あんた! ちょっとどいてくれるだけで、後でおいしいの上げるわよ! ゆっくりなんかじゃ絶対食べられないほどのね!」 その誘いは、無駄だった。 れいむは乗り上げたその体勢のまま、事切れていた。 最後まで、「子」のために死力を尽くしたゆっくりれいむの命だった。 「なっ! あんた、何で、死んでんのおおおおおっ!!!」 何度も殴りつけるが、もうぴくりとも動かない。 ただ、重みを与え続けるだけ。 「いやあああああああああああああ、たすけてえええええええええ!!!」 張り上げた声も天井から崩落する土砂の音に消えていく。 「なんで、あだじがああああああああああああ……」 後には、土砂に覆われた斜面が残された。 まるで、最初から何も無かったように。 「世の中はままならんものだ」 上白沢慧音の言葉に、妹紅のため息が誘われる。 「せっかく子供が帰ってきたのに、母親のほうが行方不明とはな」 二人、暗い顔で台風一過の晴れ渡った空を眺める。 ようやく、親子二人で幸せな暮らしができただろうに、哀れでならない。 だが、暗い話題ばかりではなかった。 「それにしても、子供を引き取ってくれる人が名乗り出てくれて、本当によかった」 「長年、子供に恵まれなかった夫婦だったな。きっと、誰よりも大切にしてくれるはずだ」 慧音の言葉に、妹紅は同意の頷きを返す。 「きっと母親の愛情が、次の家庭に受け継がれていったのだろう」 慧音の独白。 そのとき、妹紅の脳裏に浮かんだのは母親の顔ではなかった。 あの、ふくよかな母ゆっくりの姿を思い浮かべていた。 「あいつなら、もう一度暖かい家族を築けるはずさ、きっと」 慧音にも聞こえないよう小声でささやいて、妹紅は抜けるような夏の空を見上げる。 透き通るような青空を背景に、大きな一塊の雲が流れていた。 眺めていると、夏の涼風に吹かれて小さな雲が三つ、大きな雲に引き寄せられていく。 やがて、よりそって仲睦まじく一つとなる雲の姿。 ふんわりと雲が浮かぶ紺碧の空を、妹紅はいつまでも眺めていた。 おわり あらすじ どうも、小山田です。 今回はちょっとした変化球でやってみました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3407.html
ゆっくり風船 by ”ゆ虐の友”従業員 家のれいむが、どこで覚えたのか 「ゆゆ!れいむにふーせんちょうだい!」 と言ってきた。 「どうして風船が欲しいんだい?」 俺は聞いてみる。まあ聞くまでもないことだが…… 「ゆゆ!ふーせんさんはとってもゆっくりしてるよ!」 例のごとくだ。 「……たまにはゆっくり以外のこと考えられないのか?お前ら……」 つんつんと突っつく。 「ゆぶ!やめでね!ゆっぐりざぜでね!」 俺はふとあることを思いつき、れいむにこう話を切り出した。 「ふーせんさんだって、色々大変なんだぞ」 れいむはそれをふーせんを買ってくれない口実と察知し、ぽよんぽよんと飛び跳ねて抗議する。 「そんなことないよ!ふーせんさんはとってもゆっくりしてるよ!」 まったく、話が通じづらいことこの上ない。 「それじゃあ聞くが……れいむはゆっくりしてるか?」 何言ってるの、という表情で、体をかしげるれいむ。 「もちろんだよ?れいむはゆっくりしたゆっくりだよ?」 「何が、”れいむはゆっくりしたゆっくり”だ。そのセリフは聞き飽きたぜ」 俺はさっきよりも少しだけ強く、れいむを上からべんべんと叩く。 「い、ち、い、ち、ゆ、っ、く、り、を、主、張、し、す、ぎ、な、ん、だ、よ、 第、一、ゆ、っ、く、り、し、た、ゆ、っ、く、り、っ、て、の、は、形、容、詞、的、用、法、で、 俺、が、聞、い、て、る、の、は、今、ゆ、っ、く、り、し、て、る、の、か、ど、う、か、っ、て、 い、う、動、詞、的、な、意、味、合、い、の、ゆ、っ、く、り、な、ん、だ、よ、 曲、解、し、て、ん、じ、ゃ、ね、ー、ぞ」 「ゆっ!やべ……!やめで……!ゆぶっ!! うばあああああんん!!!どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!!!!」 「なんでもてめーに都合よく解釈するからだ。 ……それにほら、ぜんぜんゆっくりできてないだろ?」 俺は言ってやった。 「おにーざんのぜいでじょおおおおお!!??」 「それはそうだが、たった今ゆっくりできてなかったのは事実だ。だろう? ……つまり、それと同じでふーせんさんにも色んな苦労があるってこった。 れいむみたいにゆっくりできないゆっくりには買ってあげられないな」 「ゆぐうううんん!!!がっでよぉぉぉ!!!ふーせんがっでぇぇぇぇ!!!!」 * * * * 工房でちょっとした工作をして戻ってくる。 「おにーさん!かわいいれいむにふーせんちょうだいね!」 まだ言うのか。……いやしかし、この場合好都合だ。 俺は早速取り付けにかかった。 れいむを箱から出し、片手で底部を支え持ち上げる。 「ゆゆー!おそらをとんでるみたい……!」 実はこうやって下から眺めると、あんよ部分がうねうねと動いて若干気持ち悪い。 俺はそのあんよの中心に、ビーカーを突き立てる。 「ゆぐっ!!!!いだいよぉぉぉ!!!!おにーざんなにじだのぉぉぉぉ!!??」 ビーカーはかなり長く大きい。れいむの餡子を収納するためだ。 「おぢるぅぅぅぅぅ!!!でいぶのあんごがおぢぢゃうよぉぉぉぉ!!!! ぎぼぢわるいぃぃぃぃ!!!!!」 「安心しろ、てめーのあんよのがよっぽど気持ちわるいから」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!!!」 程なく餡子がビーカーに落ちきると、俺はれいむの頬に穴を開け、ガスボンベから水素を注入する。 「ゆゆゆぃ……おしょらを……とんでりゅみたいぃ……?」 「そーら、ふーせんさんだぞ」 「ゆ?ふーせんさんどこ?」 「れいむがふーせんさんになったんだよ。ほら、浮いてるだろう?」 れいむはビーカーを尻尾のように垂らして、床からわずかのところを浮いている。 「ゆゆーーふーせんさんだよーー」 俺が浮いていることを指摘したとたん、れいむはふわふわと漂いはじめる。”思い込み”によるもので、 驚くほどではないというか、まあよくあることだ。 「ゆっくりしてるかい?」 「ゆーっくりしてるよー!」 れいむは気持ちよさげに漂う。 「れいむふーせんさんになったよー! ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 俺はお菓子を取り出した。 「ゆゆーー!れいむにあまあまちょうだいねー!!」 「いいとも、取りにおいで」 俺はお菓子を手に持ち、待つ。 「ゆっゆっゆっゆっゆ!……ゆゆ? ゆゆゆゆゆゆゆ!!!ゆゆゆゆゆゆゆ!!!」 れいむは顔をしかめたり、膨らんだりしぼんだりするがこちらへ来る気配はない。 「やっぱりな……」 俺はほくそえんだ。 「お菓子はいらないんだね、じゃあお兄さんが食べちゃうよ」 「ゆっぐりまっでね!でいぶにぢょうだいねぇぇぇぇ!!!!」 俺は口元まで運んだクッキーを一度袋に戻す。 「しょうがないな、じゃあ10秒だけ待つよ。いーち、にーぃ……」 「ゆぐん!ゆぐん!」 れいむは鬼のような形相でへこんだり膨らんだりを繰り返す。 「さーん、しーぃ……」 「まっでね!!ゆっぐりじでよぉぉぉぉ!!!!」 やっと推進力を得たようで、ほんの少しずつこっちへ向かってくる。 だがその移動速度はきわめて遅く、とても間に合いそうにはない。 「ごーぉ、ろーく、しーち、はーち」 「ゆー!ゆー!ゆゆーー!!!」 涙を流しながら、へこへこと伸縮するれいむ。 (やっぱきめぇわ……) 「きゅーう、じゅう!!はい食べたー!今お兄さんお菓子食べたよー!!」 「でいぶのあまあまぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 おしまい。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4913.html
ゆっくりしないでね!3 テストようやく終わりました;w; 駄文でよければ見てください。;w; 男は唖然としてた。あのゆっくり一家全員に地獄をみせるつもりだった。しかし地獄を見せる前にれいむと実ゆっくりは逃げてしまった。 自分の家は木々が生い茂る山に接しており、あのゆっくりは恐らくこの山に逃げただろう。 木々の生い茂る場所に逃げたゆっくりを探すことはとても大変だ。 すぐにカツオ(犬)を使い追跡しようと考えた たまらなく悔しかった。ゆっくりごときに踊らされたことが。自分のエゴをゆっくりごときに通せなかったことが。 あの逃げれたゆっくり一家はこれからどこかでゆっくりし、無駄な生を謳歌すると思うとくやしさで気が触れそうだった。 足をみるとまりさが脛のあたりを必死に残った歯で噛みついていた。 かなり痛い。噛まれた部分は見えないが血が滲んでいるだろう 「糞饅頭・・・・・お前には・・・・生きてきたことを後悔させてやるからな・・絶対に」 男は忌々しそうに呟くと噛みつかれながら部屋の隅においてある蠅叩きを手に取る そしてそれを全力で振るう パァン!!! 「ゆびゃあ!!!!」 まりさはゆん生の中で一度も感じたことのない異質な痛みにたまらず悲鳴を上げる その拍子に男の脛から口を放してしまう 「ゆびゃあああああああああ!!!いだいいいいいいいいいいいいいい!!!」 まりさは男の周りでのたうち回っていた。まりさの肌は脂汗を分泌し始め、徐々にとヌメりを帯びてくる。 ゆっくりの肌は人間の肌よりも痛みに対して敏感だという報告もある。 激しく痛がるまりさを見ても一切の慈悲を見せずに、男は何度も蠅叩きでまりさを叩く。 パァン!!「ゆびゃあ!!!」パァン!!「いじゃい!!!」パァン!!「やめじぇ!!!」パァン!!「ぐぎゅ!!?」 まりさの肌に蠅叩きの網目が無数に付き、全身が赤く腫れあがるころにはまりさ餡子をブクブクと吐き出しながら痙攣していた。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ「パァン!!」ゆ゛っ!!?」 痙攣していてもなお叩く男。その手は止まらない。まりさの反応はだんだんと小さくなってゆく。 日が高く昇りかけた頃になり、叩くだけ叩いて疲れたのか男は手を止める。 「ハァ・・ハァ・・・糞・・肩と腕がいてえ・・・わかってると思うんだ・・・」 ちらりとまりさをみると、ヌメりきった全身に網目模様が付き餡子の色が滲んでいる。所々小さくではあるがまりさの肌は破け液状餡子が流れ痛々しい。 痙攣し、気絶してるまりさを見てめんどくさそうな顔をした後 男は小麦粉を水で溶き、それをハケでまりさの全身を塗りたくり、傷の補修をする。 「このまま死んだら楽だからな。お前らはもっと生き地獄を味わうべきだ ・・・・・・・・わかってると思うんだ(ボソッ)」 満身創痍のまりさを先ほどまで入れていた透明のケースに放り投げるように入れ、蓋を閉める。 「くそ・・・あの逃げた赤饅頭を追わないとゆっくりしちまう・・・・」 そう、男はまりさを叩くことに夢中になりすぎてれいむを追うことを忘れてしまった。そのことを後悔する男。 「クソッ!・・・・・・明日は仕事なかったら今からでも探しに行けるんだが・・・・・・・・」 男は明日から10日ほど連続で仕事をする予定になっている。仕事内容は農家の土地に出没するゆっくり駆除などである。 れいむを追って地獄を見せたいところだが明日の仕事を休むわけにはいかない。 それに農家のゆっくり駆除はそれなりに肉体労働であるため明日に疲れを残すわけにはいかないと考えていた。 「くっそ・・・絶対見つけ出して地獄を見せてやるからな・・・」 れいむは運がよかった。逃げている間に捕食者やゆっくりに仇なす動物などに出くわさなかったのである。 さらに幸運なことに倒れるまで逃げ続けた結果、その付近の群れの一員に倒れているところを発見され群れによって保護されていた。 れいむが男のところから逃げ出してから丁度3日。 れいむは保護された先で、夢を見ていた。 れいむの寝ている場所には藁や羽毛が敷き詰められており、とても気持ちよさそうであったがれいむはひどくうなされている。 夢の中、れいむは朽ちた木の洞に作ったおうちの中で、子ゆっくりに成りかけの我が子と最愛の夫であるまりさを探す。 「ゆぅ・・・れいむのかわいいおちびちゃん・・・ゆっくりしていってね・・・どこにいるかおしえてね」 れいむは意識していないが、現実世界で無いそこは雑音が一切入ってこない、まさに無音の世界であった。 「ゆぅ・・どこにいるの!おかーさん怒るよ?ゆっくりしないで出てきてね」 何の返事も返ってこない事にれいむの表情は焦燥の色がでてくる。 「ゆぅ・・・スーー(息を吸う音) ゆっくりしていってね!!!!」 全力でゆっくりしていってねを言う。しかし返事はどこからも聞こえない。 れいむの顔は泣きそうであった。 洞の中を探すのはやめて外へ出ようとした時、洞の中から何やら気配を感じた。振り返ると子れいむ2匹と子まりさ2匹が洞の中で座っていた 「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」」」」 元気よくゆっくりしていってねをする子ゆっくり達 「ゆっ!ゆっくりしていってね!!どこにってたのおちびちゃん?あまり心配させないでね!ぷんぷん!!」 子ゆっくりたちはそう言う母れいむの顔を見ると、笑顔でれいむの側までやってきてす〜りす〜りした。 「おきゃーさんだーいしゅきー」「ゆっゆ〜♪」「おきゃーしゃんのほっぺゆっくちゆっくち」「しゅりしゅり〜」 子ゆっくりたちは一斉に甘えだす。れいむは「ゆっ くすぐったいよおちびちゃん♪すーりすーり」 れいむの顔は先ほどと違ってとても幸せそうな顔をしている。 「とってもゆっくりできるおちびちゃんたちだね!ゆっくりし「「「「ゆぎゃあああああああああああああああ あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」ゆゆ!!!びっくりしたよ!!」 子ゆっくりたちは一斉に苦しみ始めた。餡子を吐き出し、その丸い身体をグネグネと捩りながら苦しみ出す。 「「いじゃいよ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぎゃあ゙あ゙じゃあ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!!!たじゅげじぇええ」」 子ゆっくり達の身体が分泌された脂汗にぬらぬらとてかり、髪の毛が一斉に抜け始め、まむまむに相当する場所が黒く炭化し始めてきた。 「おちびちゃんだぢどぼじだの゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!?まりざあ!!?まりざあ!助けてよ!!おちびちゃんたちが!!」 悲鳴を上げた後れいむは最愛の夫であるまりさに助けを求めるがまりさはどこにも現れない。 子ゆっくりたちは全身が薄く焦げ、変わり果てた姿となり、プルプルと震えているだけの丸い物体となっている。 「まりざああああ!!!おちびちゃんたぢがああああああああああ!!!!ゆっ!!」 れいむは洞に差し込む光が急に少なくなったことに驚き、洞の内側から外をみるとそこには 笑う人間さんと・・・見るからに強そうな犬さんが・・そして生気の抜け、目の焦点が合っていない最愛のまりさが・・・洞の前に差し込む光をさえぎる形で立っていた。 絶望感がれいむを襲う。 「おちびちゃんにげてえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」 れいむは夢から覚めた。全身に寝汗がびっしょりとついていた。未だ気分が悪い。 仰向けのままあたりを見回す。どうやら土に掘ってある洞の中らしい。ゆっくりにしては大きい洞でとても住みやすそうであった。 「気づいたのねれいむ。外傷らしいところは無さそうだし、ただの疲労でしょう。安心していいわよ、むきゅ。」 洞の奥から発せられた声。仰向けに寝かされていた身体をグネグネと捩りながら起こし声の主を探す。 そこにはぱちゅりーが居た。れいむよりも二回りほど大きい。おそらく長生きした個体なのであろう。 そして地面を見てみるとれいむの下にはおふとんさんがひいてあった。 それはれいむの尋常ではない量の寝汗により湿り気を帯び縮みきっている。 「ゆぅ・・ここは・・」 「ここはドスが率いる群れの巣の一つよ。あなたは群れの近くで倒れてたのを発見されてここまでもってきたのよ、むきゅ。」 「ゆぅ・・・介抱してくれてどうもありがとうね・・・」 「どういたしまして。むきゅん。でもお礼ならドスと運んできてくれたゆっくりに言ってね、むきゅん。」 れいむは何かを思い出したようにハッする仕草をしたあと、周りをキョロキョロと見始めた。 「ねえぱちゅりー。おちびちゃんたち見なかった?」 「あの飾りのない子たちの事ね?あの子たちなら今は群れのれいむが世話をしてるわ。安心してね。今連れてくるわね。むきゅん。 待っている間にこれ食べておいてね。子持ちなんだから遠慮しないでね、むきゅん。」 そういうとぱちゅりーはバインバインと跳ねながら洞の外へいってしまった。 ぱちゅりーの子持ちという言葉にはっとするれいむ。上を向いてみると茎があり、それにはたった一つ、実ゆっくり(れいむ種)が付いていた。 れいむは他の実ゆっくりが人間さんにゆっくり出来ないことをされて潰れたのを「ゆ゙ぅ゙」と言って思い出す。 寝ている間あまり食べてなかったせいで実ゆっくりは頬がコケて、かなり痩せ細っていた。 その表情は実ゆっくり特優のうっすら笑顔を浮かべている寝顔ではなく、何かに苦しんでいるようなそんな表情であった。 「ゆゔ?!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!?今ごはんむーしゃむーしゃするからねっ!」 れいむはぱちゅりーが食べてといった食べ物を急いで口にする。 「むーしゃむーしゃ・・・・・し・・し・・しあわせーーーー!!!?」 長い間食べ物を口にしていない、空腹による美味しかったというだけではない。どれもれいむにとってそれ自体がごちそうであった。 干し野イチゴや干しイチジク、木の実さんに芋虫や虫さんや野菜さん。どれもとてもゆっくりできた。 バクバクバクと普段ならばれいむ一匹ではとても食べ切れない量をすぐに完食してしまった。 「ゆふー とってもおいしかったよ!」 実れいむを見上げてみると先ほどまでの苦しそうな寝顔は無くなり、とても安らかな顔つきになっている。 そしてゆっくりではあるが、目に見える速度でゆっくりと膨らんでゆく。栄養(餡子)行き渡っているのだろう。それを見てれいむはゆっくりできた。 「待たせたわねれいむ」 ぱちゅりーがれいむのところに戻ってきた。その後ろにはれいむが二匹おり、 その二匹は大きな葉っぱを口を使って担架のようにし、子ゆっくり(作者には判別不能であるがその内訳はれいむ種1まりさ種1)二匹を運んできた。 二匹の子ゆっくりは、未だ寝たきりであり、黒く炭化したまむまむと髪の毛の状態(ハゲ)はそのままであった。 しかし、全身焼けただれ、黒っぽくなっていた肌は少しだがゆっくり本来の肌色を取り戻していた。 「ゆうっ!おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!!」 といい、れいむは二匹の子ゆっくりにすーりすーりをする。 とするとどうだろう。子ゆっくりたちの肌はまだカサついてはいるが、元のフニっとし、すべすべな肌を若干ではあるが取り戻していた。 「おきゃーしゃん!ゆっくちしていっちぇにぇ!!まりしゃはもうだいじょうぶだよ!ここの群れはとってもゆっくちしてりゅよ!」 あれだけの怪我を負い、元気が無くしていたまりさが元気を取り戻したことに驚くれいむ。 「れいみゅのごはんも用意してくれてとってもゆっくちできたよ。しあわせ〜だったよ。ゆんゆん。」 「むきゅん 子ゆっくりたちの状態が酷かったから秘伝のお薬をつかったのよ 大分よくなったみたいね。むきゅん。 まだ完治はしてないけど栄養のあるものを食べさせていればもっとよくなるわ。」 「この辺りはドスの管理もあって、とっても食料が豊富で、えいよーのあるものがたくさんあるからゆっくりできるよ」 と運んできたれいむが言う。 母れいむは子ゆっくりたちを見ると若干前よりも大きくなり、そしてぷっくりとしていると感じた。全身火傷で失った肌の艶も少しではあるが出てきている。 完治も夢じゃないかもしれない。えいよーのあるゆっくりしたものを食べさせてもらったんだなあと思う。 どうやらこの群れは見ず知らずのれいむたちにとてもとても手厚い介抱をしてくれたようだとれいむは理解した。 人間にあれだけ酷いことをされ、傷つき落ち込んでいた心に親切にされたという事実が浸みわたりれいむは涙が自然と出てきた。 「ゆゅゅ・・・ありがとおぉぉ・・ほんとにありがとね・・れいむ うれしいよ とってもゆっくりできるよ・・・」 この暖かい気持ち 「ゆっくり」だ。それを感じながられいむは「ゆんゆん」と泣き始めた。 「むきゅん。別に当たり前の事をしただけよ。困った時はお互いさまでしょう?」 照れながら言うぱちゅりー。 そんなぱちゅりーを見ながられいむは子ゆっくりに聞こえないようにそっとある質問をする。 「ねえぱちゅりー・・・髪と・・・その・・まむまむは治るかな・・」 「むきゅう・・・髪は時間がかかるでしょうが治ると思うわ。むきゅん。 でも・・まむまむはむきゅん、正直に言うわ。 治らないわ・・・肌と違って、秘伝のお薬を使っても、まむまむは手の施しようがなかったのよ。ごめんなさいね・・・むきゅう・・」 ぱちゅりーはそう言って少し残念そうにうつむいた。 「そっか・・・ごべんでぇ・・おちびちゃん・・・・・守ってあげられなくて・・・ゆ・・ゆぅ・・・・ゆえええええええん」 またれいむは泣き始めた。もうおちびちゃんたちは胎生出産をすることができなくなってしまった。まだ蔦を使ってでの出産は可能ではあるが、 我が子の不憫さにどうしても涙が出てきてしまう。 「お取り込み中のところちょっといいかな?」 ゆぅゆぅ泣いているところに、の太い声が聞こえた。 どうやら洞の外から発せられた声のようだ。声の主を確認するためにれいむは洞から顔を出す。 そこには洞には到底入りきらないようなサイズのまりさ・・・ドスがいた。3メートル近くはあるだろうか。羆もびっくりなサイズである。 穏やかな顔とは裏腹に身体中には歴戦のものと思われる傷跡が無数にあった。 「ゆぅ!ドスだね れいむたちを助けてくれてありがとね とても感謝してるよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね、れいむ。ここは人間さんから貸してもらったドスたちのゆっくりぷれいすだよ。群れのみんなから聞いたけど大変な目に遭ったんだってね。 れいむさえよければ子供たちの傷が治るまで居ていいからね。」 れいむの顔がパァっと明るくなる。ここはなんてゆっくりしたところだろうかとれいむは思う。 「ありがとうドス。子どもたちもとってもゆっくりできてるよ。ドスのおかげだよ」 「どういたしましてだよ、れいむ。ところであの子ゆっくりたちの傷って、やったの人間さんでしょ?」 突然今回の悲劇の核心を突く言葉に顔を硬直させるれいむ。 「でい゙ぶだぢばな゙に゙も゙じでな゙い゙の゙に゙・・・・・・い゙ぎな゙り゙人間ざん゙が・・・ゆ゙ぅぅぅ・・・酷い゙ごどを゙・・・ゆぅぅぅぅ・・」 いきなり泣き出し、嗚咽を漏らすれいむ。 「やっぱりそうなんだね。でも安心してね。ここは人間さんとの協定があるからゆっくりできるよ。ゆっくりしていってね!」 この群れは人間と協定を結んでいた。ドスはそれをれいむに説明した。 おおまかな協定内容はこうだ。 1 ゆっくりたちはマツタケやイワタケなど人間にとって高価な山の幸を広範囲にわたって探し、人間がやるように綺麗に収穫し、それを人間に献上する。 または、ゆっくりが狩れない高価な食材の位置を人間に伝えたり、綺麗な石(宝石の類)なども見つけたらそれも献上する。 2 献上する際、ドスは人間たちに群れの繁殖状況等を報告する。 3 人間は献上されている限りゆっくりを殺さない。そして人間は集落で捕まえた虫や出来そこないの野菜や野菜くず、普段食べないような木の実などを適当に渡す。 4 一つの番が子供を産むのは生涯をかけて3匹まで。それを守れないゆっくりは群れによって永遠にゆっくりさせられるか追放である。 ただし何かしらの理由で成ゆっくりになれなかった場合や災害で群れの総数が著しく減った場合にはそれは適用されない。 5 人間側が増えすぎだと判断した場合、群れでそのゆっくりを処理するか、この村の人間の縄張りの外まで連れていくか人間に渡すかのどちらかを選んでもらう。 6 人間と争いは絶対に起こしてはならない。それはこの村の人間に限ったことではない。 7 この辺りの土地は人間さんのものである。よって、ゆっくりは人間さんの慈悲でこの土地に住まわせてもらっているだけであって、 ゆっくりはこの土地がゆっくりのものであるということをいかなる場合においても主張することはできない。 8 条約が守られない場合ゆっくりはこの土地から出ていくか、永遠にゆっくりすることを選んでもらう。 などと、ゆん口調節までさせられているかなり不平等な協定内容ではあったが、守っている限りここのゆっくり達の生活は安寧としたものであった。 そして追加情報は、この付近の人間さんはここ以外の人間さんよりも気性が荒くなく、ゆっくりできるらしい。 そして、冬籠りの際の食糧援助などもしてもらえるらしい。 「ゆう?・・そうなんだ・・じゃあ、ゆっくりドスの気持ちに甘えさせてもらうね」 「ゆ!そうしてね。この群れにはまだまだ余裕があるからゆっくりしていってね。」 そう言い残しドスは自分の巣へ帰って行ってしまった。 「むきゅ れいむは今日から子供達が治るまでここに住めばいいと思うわ。丁度だれも住んでなかったから」 「ゆ!ありがとうぱちゅりー。そうさせてもらうね。」 「それじゃあわたしは自分のおうちにかえるわね。ゆっくりしていってねれいむ。おちびちゃんたち。」 「「「ゆっくりしていってね(ゆっきゅりしていっちぇにぇ)」」」 ぱちゅりーが出て行って、れいむと子ゆっくり二匹になったれいむ一家。 「おきゃーしゃん ゆっくちゆっくち」 子ゆっくりたちが母れいむに甘えてくる。れいむはそれをすりすりで返した。 (れいむたちはこれからゆっくりできる。でも・・でも・・まりさが心配だよ。きっとまだ生きてるよね!れいむ心配だよ。 おちびちゃんたちがもう少し大きくなったら探しに行くよ!だからまりさ・・絶対生きててね!) 頭に生えている実ゆっくりを見つめる。もうすぐ生まれるだろうと本能的にれいむは感じ取った。 「ゆぅ・・れいむのおちびちゃん・・安心してゆっくり生まれてね・・絶対れいむが守ってあげるからね・・・」 れいむはそう心に誓う。 それからのれいむ一家の生活はとてもゆっくりしたものであった。 子ゆっくりたちは成長し、野球ボールサイズからソフトボールサイズとなり、赤ちゃん言葉が抜け、そして肌は昔のように柔らかさとハリを取り戻していた。 子ゆっくりたちは寝た切りの状態から赤ゆっくりと同じくらいの運動量をこなせるくらい回復していた。 頭からはまばらではあるが、うっすらと髪の毛が生え始め、その色の違いによりれいむかまりさかを見分けることができる。 そして新たに生まれた赤ちゃんゆっくり。蔦に成っていた実ゆっくりの最後の生き残りである赤れいむは元気に生まれ、今は帽子のない姉たちと元気に遊んでいる。 その赤れいむはいまや家族のアイドル的存在である。れいむは赤れいむを見るたびにこのおちびちゃんをまりさに見せてあげたいと思うのであった。 「おちびちゃんゆっくりしていってね!」 「おねーちゃんゆっくちゆっくち」 「おちびちゃんたち!ゆっくりしてるね!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり(ち)していってね(にぇ)!」 子供たちは赤ゆっくりと鬼ごっこをしたり、ゆっくりごっこをしたりでとても生き生きとしていた。 「ふわあああああ〜〜〜むにゃむにゃ・・・れーみゅもうちゅかれちゃよ・・・ゆっきゅりおひるねしちゃいよ」 「ゆっ!そうだねおちびちゃん。おねーちゃんたちと一緒にお昼寝しようね!」 そういって昼寝を始める子供達。母れいむはそれを見ながらゆっくりした気分に包まれていた。 今の家族はすべてこの赤れいむが中心に回っていると言っても過言ではない。赤れいむは一家にとってはとっても愛らしく、可愛く、まるで天使のようであった。 それから子供達を起こさないようにそっと巣(仮)を出て、昼寝から覚めた後のおやつとなるものを探しに回る。 まりさのことは心配だ。しかし、今は子供達を自分の力で生きられるようにすることが先だろう。まずはえいよーのあるものをしっかり食べて成長することが第一。 れいむはそれがまりさの願いでもあると考える。 「ゆふふふふ・・おちびちゃんたち喜んでくれるかな・・」 れいむはやわらかい花を口にくわえ巣へ戻る。 巣では子ゆっくり達と赤れいむが仲良く寄り添い、ゆーゆーと言いながら寝ていた。 「ゆっくりしたおちびちゃんたちだね!れいむうれしいよ。」 れいむは子供達が起きないように静かに巣に入ったが、赤れいむはその気配に気づき目が覚めた。 「ゆぅ〜おきゃーしゃん ゆっくちおはよう!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!おちびちゃんたち!おやつもってきたよ!」 「ゆわーい」 「おやつおやつー」 「ゆっくち、ゆっくち」 子ゆっくりは花にかぶりつく。うっすらと甘い味、フローラルな香りがとてもゆっくりさせてくれる 「「むーしゃむーしゃ ゆゆ〜しあわせ〜」」 赤れいむには母れいむが噛みほぐしたものを口うつしで与えてやる。 「ゆー しあわしぇー!」 親ゆっくりも子ゆっくりも赤れいむもそこでの生活は何もかもがゆっくりできた。ずっとここにいたい。ここには「ゆっくり」がある。 だがそんなゆっくりした生活はもう終わる。 なぜなら人間が連日の仕事を終え、一家を探し始めたからである。 「ちっ、この付近にはあの糞饅頭いないっぽいな」 男は忌々しげに舌うちをし、足元に転がっている成体のゆっくりまりさを蹴り飛ばす。 ズン!!「ゆげぇ!!」 蹴られたまりさは10メートルほど先に落下した。 「まりさああああああああ!!!」 「おとおおおしゃああああああん!!」 それを見ていたれいむと子ゆっくりたちは声を上げる。 男はあのまりさの妻であるれいむとその子供達を探しに森まできていた。 その際ゆっくりを見つけては禿げた子ゆっくり二匹を連れたれいむは知らないかと聞きまわった。 知らないと答えたゆっくりはみな適度に重傷を負わされ、まむまむを割かれ、目を潰され、舌を引き抜かれた。男は子供も大人も区別なく平等にそれを行った。 今この男によって新たに捕えられた一家が男の尋問を受けている。 一家がおさんぽ(笑)中に歌を歌いながら歩いていたのを男に発見されたのだ。 一家の構成は親れいむ、親まりさ、子れいむ×3 子まりさ×2であった。 ゆっくり一家は一切拘束は受けていないが、逃げたら犬に食い殺されることを知っている。 なぜなら、この一家の親達は子供だけでも逃がそうとした。その際一番早く逃げようとした子まりさに向かって、ゆっくりでは一生かかっても出せない 速度でカツオが飛びかかり、食い殺したのであった。次にその妹であるれいむを食い殺した。 まだ子供は3匹残ってはいるが、犬による圧力で、一家全員金縛りにかかりそこから動くことができない。 「なあれいむ・・お前は知らないのか?正直に答えてくれたら助けてやるぞ。その苦しみから解放させてやる」 「ゆ・・・ゆゆゆゆゆ・・・しらないよ・・・・ほんとうに知らないよ・・・おちびちゃんだけでも逃がしてほしいよ・・・・」 泣きながらガタガタと震えれいむは男に懇願する。 「そうか知らないのか。ならこんな舌はいらないよね。こんなまむまむはいらないよね。こんな目はいらないよね」 そう言うと男は子れいむを持ち上げる 「ゆっくりやめてね!おちびちゃんを放してね!」 男はそれを無視し、子れいむに手を伸ばす。 恐怖を感じた子れいむは親に助けを求める。必死に。 「おぎゃーしゃーんたすけてえええええええええ「ブスリ」ぴぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!?」 人差し指を子れいむのまむまむに深く突き立てる。子れいむの全身から謎の液体が大量に分泌されぬるぬるぬめぬめしてくる。 「だいじょうぶだって!こんなのすぐ終わるんだから」 突き立てた指をぐりぐりと回し、その穴を広げ、その広がったスペースに中指も入れる。その際子れいむのまむまむは裂けた。 「いぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 指を引き抜き、手をチョキの形にし、両目に指を突き立てる。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「やめてええええええええええええええええええええええ!!!!?おちびちゃああああああああああああああああん!!!??しっかりしてえええええ!!!?」 「れいむおねえちゃああああああああああああああん!!!?」 指を抜いても未だ悲鳴を上げ、大きな口をあけている子れいむ。男はその大きく開けられた口に、手を無理やりその口に入りきれない手を突っ込む。 その際、口の端がぶちぶちと音を立てて裂ける。 「ゆぐぐぐっぐぐっぐうぐぐ!!!??」 たまらずさらに悲鳴を上げる子れいむ。男はその悲鳴を無視し、ぬるぬるした舌を全力で掴み一気に引き抜いた。 ブツッ!!! 「!!!!!!!????????????!!!!!!!!?????」 悲鳴は消えた。代わりに物凄い形相をしてしーしーとうんうんを撒き散らしながら、ビッタンビッタンと跳ねまわる子れいむが居た。 子れいむの周りには無理やり手を突っ込まれた事により折れたり抜けたりした歯がいくつも転がっていた。 「おちびちゃああああああああああああああああん!!!?」 今度は子まりさに同じことをしようと手を伸ばした瞬間 「やめてね!!!!!」 先ほど蹴り飛ばした親まりさが叫んだ。 「まりさ達は知らないけど、この森をあの山に向かってずっと行ったところにドスのいる群れがあるよ・・・そこなら誰かそのれいむの居場所知ってるかもしれないよ・・・ まりさ達はしらないよ・・・お願いだよ人間さん・・もう酷いことしないで・・・まりさ達を見逃してほしいよ・・・・・」 まるい身体をクニって曲げている。本人は土下座のつもりだ。 (ふむ・・・どうやらこの一家は何も知らないみたいだな・・・このままこいつらを尋問を続けるのは時間の無駄か。 ドスの群れまで行って適当に捕まえた奴を尋問したほうがいいかもしれないな) 「わかった。尋問はもうやめてやる。俺も忙しいしな。情報を提供してくれた礼だ。楽に死なせてやる・・」 「ゆへ?」 男はまりさのところまで全力で助走をつけ、渾身の力を込めて蹴りあげた。 ドグシャッ!!「ゆべっ」 まりさは鈍い音を立てて、餡子を飛び散らせながら勢いよく木に激突し爆ぜた。 「ゆ・・・・?まりさ・・・?」 「おとうさん・・・?」 「ゆっくり・・・ゆっくり返事してね・・・?」 現状を把握しきれていないゆっくり一家。 「カツオ。食ってもいいぞ」 把握する間もなく死なせてあげようとするのは男の情報をくれたゆっくりに対する僅かな慈悲でもあった。 カツオがその言葉が発せられた途端、爆発するような速度で親れいむとの間を縮め、食らいつき、右側頭部を食い千切る。 「ゆぎゅ!!?」 側頭部の皮を飲み込んだ後、餡子をひたすらガフッガフッと音を立てながら貪るカツオ。 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!まりざあああああああああたずげでええええええええ!!!?」 「おきゃあああああああしゃああああああん!!!?」 「ゆっくりしてええええええ!!!」 恐怖と痛みにより甘みを増した餡子を美味しそうに貪るカツオ。れいむの反応が段々と小さくなり 「ゆゆゆゆ・・・ああああああああああああ・・・ああ・・・お・・・・ち・・・・・・・に・・・・・げ・・・」 餡子を食い漁られまともに言葉を発することができないれいむ。 そのれいむが最後に見たものは、 愛する「おちびちゃん」が一匹残らず脳天から男の足に踏み抜かれ、 目やあにゃる、ゆっくりの身体の所々から命の素である餡子を盛大に噴出し、 そのあまりにも短い生涯を終える光景であった。 次
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2910.html
交通安全ゆっくり 罪の無いゆっくりが死にます 道具として利用するだけで、プレイとしての虐待は薄めです 自動車が出てきます。時代背景・世界観は適当に想像してください その日は残業で疲れていたのもしれない。 早く帰ってゆっくりしたい。そんな気持ちが自然とアクセルを強く踏ませた。 具体的には何時からかわからない。しかし私は眠ってしまっていたのだろう。 その事に気づいたのは、もうどうにも成らない速度で急カーブに突っ込む直前であった。 「し、しまった・・・うわー!!」 「ぐっ!ぐるなあぁぁぁ!!」 「こっちこないでね!あっちにいってね!」 「はやすぎるよぉぉぉー!!ゆっくりしてよぉぉぉー!!」 「ゆぎゃぁあぁぁっぁ!!」 「いっ、いだ・・・ゆべしっ!!」 「ぶぺっ・・・パーン!ぶち!ブチ!ブチ!ぷち!プチ!プチィ!」 「ぷち・・・ぷち・・・」 「・・・!?生きてる・・・助かったのか?」 「ゆっ・・・ゆぐ・・・ぢ、ぢにだぐ・・・」 「だずげ・・・あんごばぼでづ・・・」 「ゆっぐりぢだげっががごでd・・・」 「危なかった!ゆっくりが無かったら即死だった」 ★開発秘話★ 時は暫く遡る。 近年急速に普及した自動車により流通や遠距離の交通手段が劇的に進歩を遂げた一方、 自動車による交通事故の増加が深刻な社会問題となっていた。 既存の交通手段とは異なる新しい乗り物に対応する為、新しい安全対策が必要となった。 道路の整備や交通規則の制定が急務とされたが、問題となるのはその規模である。 短期間で効果的な対策を施すには膨大な予算と人的労力が必要となる事は明白であった。 安価にて、短期間に構築可能で、耐久性・安全性に優れ、効果的な安全対策器具の開発。 これら困難な課題に対して開発者は日々頭を悩めていた。 そこで開発者が注目したのが「ゆっくり」である。 大量に発生し、減らしても直ぐに復活する繁殖力を持つこの不思議な物体の有効活用方が 無い物かと日頃より様々な研究がなされていた。 このゆっくりを利用して交通安全に有効な対策を打ちだせれば、余っているゆっくりの 資源有効利用と人命保護が同時に可能となり、大幅な予算の節約が出来る。 しかし、その開発は決して平坦な道のりであった訳ではない。 ここでは開発者が苦心の末に生み出した交通安全ゆっくりの秘密に迫ってみよう。 ★ガードレールゆっくりの秘密★ 最初に開発されたのが、ガードレールゆっくりである。 当初は金属製のガードレールが試作されたが、加工が難しく大量生産が困難である事と 金属では衝突時に危険と言う事でゆっくりを原料に使用するプランが浮上した。 制作方法は、特殊な薬品で防水加工を施したゆっくり同士をワイヤーでしっかり固定し、 ネット状に展開して金属の支柱に固定するのだ。 ゆっくりが緩衝材となり、衝撃を吸収する事と、完全には固定されていないので 変形して柔軟に衝撃を吸収できるのが利点である。 まず、ゆっくりの柔らかさを利用して、衝突安全性を向上させる狙いがある。 車が接近すると、衝突の恐怖でゆっくりが硬くなり汗をかく。 恐怖で硬くなったゆっくりが、衝撃を周囲のゆっくりへ伝える事で、 点ではなく全体へエネルギーを分散する事が可能と成る。 また、表面が汗で滑る事で衝突のショックを分散しつつ、ネットが変形して包み込む。 衝突の痛みでゆっくりの固形化が解除され、外圧が限界に達すると変形が始まり、 車と乗員のダメージを受け流す。 衝突の衝撃で内臓餡子が急激に撹拌され、運動エネルギーを吸収しつつ 熱エネルギーに変換する。 最後は破裂し、エネルギーを放出する事で衝撃を緩和する。 ガードレールと言うよりはタイヤバリアの機能も兼ねている。 しかし材質に使用されているゆっくりの性質が衝突時の恐怖で変化する為、 進入角が浅い場合などは硬質化して汗で滑って跳ね返すなど、 状況に応じてガードレールとタイヤバリアの両方の性質を持っていると言える。 ★エアバックゆっくりの秘密★ 次に、乗員保護の観点から車に搭載するエアバックゆっくりを見てみよう。 最近の車には殆ど、このエアバックゆっくりが搭載されている。 これは赤ちゃんサイズのゆっくりがハンドルに内蔵されているのである。 衝突の衝撃や、急激なブレーキを検知すると、特殊な薬品が注入される。 この薬品はゆっくりの時間を加速し、ゆっくり出来なくし、急激に成長させる。 活性化され急激に成長する餡子脳は一時的にその働きを高める事になり ゆっくりにとっては周囲の時間が非常にゆっくりして見えると言う。 無論、実際の時間では1秒にもみたない一瞬であり、その感情や思考を 周囲の者が認識する事は出来ない。 急激に成長したゆっくりは、ハンドルを突き破り、外に飛び出す。 急成長の副作用で、内部の構造はスポンジの用にスカスカであるが、 この構造により乗員の衝突時のショックを吸収する事が可能である。 衝突時に内部の細かい気泡の様な空間が弾けて潰れる事でクッションとなり、 ドライバーを優しく受け止める事ができる。 万一はじけ飛んで口に入っても、そのまま食べられるほど安全な素材で出来ている。 緊急時には非常食として食べる事も可能だが、 長期間ハンドル内で熟成している為、食用には向かない。 ★ゆっくり達の一生とその働き★ -ガードゆっくり編- 「ゆっくりしていってね・・・」 「ゆっくりがんばろうね」 まりさとれいむの姉妹は、消えそうになる元気を振り絞って家族に呼びかけた。 このまりさとれいむ以外の姉妹と両親は、家族全員生きてはいるが・・・動けないのだ。 ある日、森でゆっくりしていた一家の元に人間がやってきて捕まってしまった。 「ゆぐぐう・・・なんでうごげないの・・・!?」 「いだい・・・ゆっぐりぢだい・・・」 変な薬を飲まされて、体に紐を結ばれて動けなくされて、 一家まとめて縛られた状態で杭に繋がれていた。 まりさとれいむも捕まったのだが、この2匹だけは人間が許してくれて逃がして貰った。 しかし、他の家族を置いて逃げる訳にも行かない。 人間が立ち去ってからは、何度も家族を逃がそうと紐を引っ張ったり、 杭を抜こうと努力したが如何にも成らなかった。 周囲には、同じ様な境遇なのだろうか?ゆっくりの一家が同様に繋がれており、 同じく数匹の子ゆっくりが家族を心配して寄り添っている。 れいむとまりさは、もう直ぐ巣立ちが出来る頃と言えるまで成長しており、 親と一緒に狩が出来るほどであった。 下の姉妹は、子ゆっくりのれいむとまりさ、赤ちゃんれいむとまりさなど まだ小さい。子が大きくなって一緒に餌を採れる様になった為、両親がすっきりして 新しい赤ちゃんを産んで家族を増やしたのだ。 「おながずいだよお・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「ゆっくり待っててね!ご飯取ってくるからね!!」 家族の救出が困難である事を理解したれいむとまりさは、必死で餌を集めた。 両親はともかく、赤ちゃんなどは餌を運ばないと長くは持たないだろう。 しかし、両親と自分達で餌を大量に取れるから産んで増やした家族である。 幾らもう直ぐ独り立ち出来るまでに成長していても、たった二匹で家族分の 餌を運ぶ事は容易ではない。 雨が降って来た時は流石に焦ったし、もうダメだと思って泣き叫んだ。 赤ちゃんゆっくり達は何が起こったのか理解して無いし、姉妹の仲には狂乱して 泣き叫ぶ物も居たが、両親だけは覚悟を決めて、動けるれいむとまりさだけでも 逃げる様に言い聞かせた。 「ゆっぐりしないで逃げてね!!」 「いやだぁぁぁ!おがあざんとずっとゆっぐりぢたいぃぃぃ!」 「わがまま言わないでね!!さっさと行ってね!みんなの分までゆっくりしてね!!」 家族と離れるのは嫌だと泣いたが、両親に怒鳴りつけられて雨から逃れる為に 木の下まで走っていった。 家族が溶ける様は見たくは無かったが、しかし遠くまで離れる事も出来ず、 近場の木の下から家族を見つめ、雨が止むのを祈り続けた。 「はやくやんでね!ゆっくりしないであめさんとまってね!」 「ゆっくり、ゆっくり・・・」 見ると周りには同じ様に家族を心配するゆっくりが何匹も居る。 自分達の不幸を呪い、互いに涙した。 その涙で自分が溶けるのでは無いかと思うほど泣いた。 ところが雨は降り止まず、しかし家族も溶けはしない。 ゆっくり達は知らないが、雨に濡れても溶けない特殊な薬品で加工されている為である。 「ゆっぐり助かったね!」 「よかったね!ゆっくり出来るね!」 雨が上がり、家族はお互いの無事を喜び合ったが、 だがコレは更なる地獄の始まりでもあった。 動けない、助ける事も叶わない、しかし雨で死んだりしない、見捨てる事も出来ない。 命が奪われる当面の危機は去ったが、ゆっくりとした飢えと言う死は近付いてくる。 もう助からない事が確定的であれば、あるいはあの雨で死んでいれば、 まりさとれいむは新しい人生を踏み出せたかもしれない。 しかし目の前で苦しむ家族を見てまりさとれいむは、 家族を見捨てられないと言う鎖で縛られていた。 「ゆぅ・・・もうダメだよ・・・もう動けないよぉ・・・」 「がんばるんだぜ!おかあさん達と妹たちはもっと苦しんだぜ・・・」 一日中餌を集める作業。しかも自分達の餌であれば、採って直ぐ食べる事も出来るが、 動けない家族の分となると取った地点からココまで運ばねば成らない。 餌集めと運搬の重労働。食べ盛りの赤ちゃんが居る為、餌の確保ノルマは 日増しに厳しく成っていく。 十分な量を確保出来ない分は、自分の餌や両親が我慢して子に譲っていた。 「ゆっくり・・・こんなご飯じゃたりにゃいよ」 「はねてあそびちゃいよ・・・ちょうちょさんがほしいよぉ」 両親は子の頑張りを見て、また不自由に成った自分達の赤ちゃん達の為にと考える事で 忍耐が出来た。しかし赤ちゃんゆっくりは違う。 生まれてからずっと家族に愛されて幸せだったのに突然襲った不幸。 ゆっくり出来ない日々。何の為に生まれて、何の為に生きているのか。 両親が賢かった為、赤ゆっくりは姉達の苦労が分からぬほど愚かではなかったが、 心は荒んで行き、生きる事に意欲を見せなくなっていく。 「ゆいっ、ゆ、ゆっくりぃ、ゆっくり・・・」 「ゆへへへ・・・ゆゆーん♪ ゆへひゃー・・・」 やがて赤ちゃんゆっくりはとても幸せな顔で毎日を過ごすようになった。 完全に現実から意識を切り離して楽しい世界へ行く事にしたのだ。 この赤ちゃんゆっくり達は幸せだろう。 両親と姉達に愛されて、楽しい夢を見ながら大切に育てられるのだから。 だが、その夢さえも長くは続かなかった。 「ゆぅ・・・眠いのに煩いよ!しずかにしてね!!」 「ゆっ!夜なのにまぶしいよ?」 「なにかコッチに来るよ?ゆゆ!コッチに来るよ!?!?」 「ぶつかるよ!ゆっぐりにげるよ・・・ゆぎゅっ!なんで動けないのぉぉぉ!!??」 「ごっじぐるなぁ! ゆっぐりごっじぐるなぁあぁぁぁぁ!!」 「こわいよぉぉ!まだじにだぐないよぉ!!」 「おがあざーん!だずげでー!だずけでくだざいぃぃぃ!!」 「い、いだい!・・・ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「つぶれる・・・れいむのあんごが・・・」 「みえないぃぃぃ!まりざ!?まりざどごぉ!?」 「れいむ?赤ちゃん達?どうじでへんじじでぐれないの???」 余談だが、動けないゆっくりは余分なエネルギーを損失しない為、最低限の水分が 雨で補給できれば、交換耐久年数の3年は無補給で生存する事が確認されている。 子供を数匹逃がして希望を残した方が、捕らわれたゆっくり達の肌の張りが良く 生きの良い状態で長期運用できるそうだ。 家族を助ける為と信じて不要な餌を運び、人間の安全の為にガードレールの品質保全に 日々努力する彼等の姿は非常に心打たれる物がある。 我々も自らを戒め、安全には十分気を配るよう心がけたい物である。 ★ゆっくり達の一生とその働き★ -エアバックゆっくり編- 「ゆっくりしていっちぇね!」 ココは何処だろう?真っ暗で何も見えない。 お母さんは?兄弟達は?何で誰も居ないの? あぁそうか。勘違いしたんだ。生まれた夢を見たんだろう。 まだお母さんのお腹の中だ。早く生まれたいなぁ~ 生まれたら一番にお母さんに「ゆっくりしていってね」って言おう。 ちゃんと言えるかな?楽しみだなぁ。 「おかあちゃんのこえがききょえにゃいよ?」 おかしい。お母さんの声は聞こえるはずだ。 少し前までは聞こえていた。自分に話しかけてくれていた。 自分が動くとお母さんは喜んで、ゆっくり生まれてきてねと言ってくれた。 もう直ぐ生まれる筈だった。生まれてお母さんに挨拶をして・・・ 「ゆ?れいみゅはうまりぇたにょににゃんで??」 やっぱりおかしい。いよいよ生まれるのだと自分でも分かった。 やっぱり生まれた筈だ。ココは自分の知ってるお母さんのお腹の中とは違う。 「ここがおそとにゃの?」 真っ暗だ。こんな世界がお外なのか?自分を産んでくれたお母さんは何処だろう? なんだが記憶があやふやだ。 生まれたとおもって、目覚めて、気が付いたら真っ暗で・・・ 「ゆぐっ!?ふりゅえるよ!ゆっぐりちちぇね!!」 突然振動が始まった。全身を無理やり振動させられる。 なんだかとってもゆっくり出来るような、でもとても怖いような。 このまま振動をつづけてゆっくりすると、ずっとゆっくり出来なくなりそうな 本能の奥底に刻まれた恐怖を覚える。 「やみぇてね!れいむまだしっきりちちゃくにゃいよ!!」 意識が混乱する。知らない単語が自然と口から出てきた。 だんだん思考が定まらなくなって行く。 このままでは自分が壊れてしまうと感じたその時。 「ゆぎゃ~ん!ま、みゃわりゅよ!!」 突然世界がぐるぐる回り始めた。 上右下左上右下左。真っ暗な世界で上下左右の感覚だけがめぐるましく変化する。 「も、みょう・・・やみぇちぇ・・・ゆべっ!!」 今度は何者かに殴りつけられた様な衝撃を全身で受ける。 何か大きな音が鳴っているが、今はそんな事を気にする余裕も無い。 生まれて始めての痛みに、意識をかき回され悶え苦しむ。 気が付くと、真っ暗な空間で自分一人だけがただ静かに居る 元の何も無い状態に戻っていた。 またあの苦痛が何時始まるのかと思うと、全然ゆっくり出来なかった。 それからは毎日が苦痛の日々だった。 「さむい・・・さみゅいよぅ・・・」 「ゆぅ・・・どうしてだりぇもおへんじちてくりぇないの?」 「ゆゆ!?あちゅくにゃってきちゃよ!ゆっくりできないよ!」 「もうやだ!おうちかえりゅ~!!」 そんな日々が唐突に終わる。 突然、今まで感じた事の無い程の衝撃を感じたかと思うと、 目の前が明るく開けた!! 「ゆ?おそとのせかいがみえる?れいみゅうまれるの!?」 やっぱり生まれたのは気のせいだったんだ。 体に激痛が走って締め付けられるけど、 生まれる時にお母さんから出る為の苦しみなのだろう。 随分ゆっくり出来なかったけど、生まれたらお母さんに挨拶しよう。 上手に「ゆっくりしていってね」って言えるかな? お母さん喜んでくれるかな? お母さんのお腹の中で、凄く怖い夢をみて寂しくて泣いちゃった事を話そう。 沢山沢山すりすりして慰めて貰うんだ。今までの分もイッパイ甘えて、 これからお母さんとずっとずっとゆっくりしよう。 「ゆ~おちょりゃをとんでりゅみちゃい!!」 外に押し出される感覚があり、次の感じたのは空中に浮遊する様な錯覚。 暗闇から明るい世界へ飛び出た為にその様に感じたのだろう。 事実、背中を固定されている感覚がある。 生まれて飛び出た衝撃で飛んで行って怪我しないように、 多分お母さんがお口で支えてくれているのだろう。 「ゆ?めのみゃえににんげんさんがいるよ?」 親から受け継いだ知識で知っている。あれは人間だ。 どうして自分が生まれる時に目の前に人間が居るのだろう? この人間さんがおかあさん?そんな筈は無い。 自分が今生まれるのに、目の前に居るはずが無い。 じゃあ、お父さん?・・・あっ!そうか!!おかあさんは人間さんと住んでるんだ! だったらちゃんと挨拶しなくちゃ。 「ゆっくりちちぇいってにぇ!!」 やった、何度も練習した甲斐があった。キチンと言えた筈だ。 お母さんもコレで鼻が高いだろう。 自慢の赤ちゃんだと喜んでスリスリしてくれるに違いない。 「ゆぅ?にゃんでにんげんさんうごきゃないの?」 おかしい。目の前の人間は全然動く気配が無い。 それだけじゃない。自分も動けない。背中を固定されて身動きが取れない。 「おかあさん!もうだいじょうびゅだよ!はなちてね!れいむうごきたいよ!!」 必死に後ろに居る筈の母に、放して貰おうと伝えるが、まったく返事が無い。 「ゆゆっ!!れいみゅおおききゅなりゅよ!!」 今度は体が膨らんでいく感覚が襲ってきた。 生まれるまで時間が掛かった分、お腹の中で我慢していたので、 一気に成長が始まったのだろうか?きっとそうだ!れいむは大きくなるんだ!! 「ゆぅ?にんげんさん、こっちにくりゅの?」 なんだか人間さんが近づいてくる気がした。動かないと思っていたが、 本当にゆっくりした速度で近付いてくる。きっとれいむが可愛いから スリスリしたくなったに違いない!! 「ゆぎゅっ!な、にゃんだが、かりゃだがあじゅぐなっでぎだよ!?」 急激な成長で体が熱を持っている。それだけではない。 徐々に体内の餡子が掻き回されて、煮立つようにボコボコと気泡が溢れていき、 皮が引き伸ばされ、激しい吐き気に襲われる。 「ゆげっ、にゃ、にゃんにゃのこりぇ・・・れいむどうなってりゅの?」 スポンジの様に膨らんで穴だらけになった餡子脳では、 最早正常な思考は出来なくなりつつあった。 しかし目の前の人間が、さっきよりも近くに来ていて、 このままでは自分にぶつかる事だけは判っていた。 「こきゃいで、にんげんさん!れいみゅおかしいよ!かりゃだがいちゃいよ!」 「ぶちゅかりゅよ!こにゃいで!いちゃいの!こにゃいでったりゃ!!」 「いー!だー!いぃぃぃー!!ちゅぶれりゅ!!れいみゅのおきゃおがぁぁ!」 「やめでぇ!!おちゃないでぇ!!れいみゅほんちょうにちゅびゅりぇちゃう!!」 「やぶりぇりゅ!れいみょのおきゃおが!!それいじょうおちちゃらやびゅりぇ・・・」 「ゆびっ!ゆべべびゃ・・・じにちゃく・・・れいみゅせっきゃくうまれちゃにょに」 「じにゅ・・・じにたく・・・じ?じぬにょに?・・・じ・・・」 「じにゃにゃい?まだじにゃにゃい!?にゃんでじにゃにゃいの?」 「ぢぬにょがにゃがい・・・しぬのがながいよぉぉぉぉ!!」 「じにたくにゃいげど・・・じなにゃにゃいのもいやぁあぁぁぁ!!」 「いだいのぉ・・・もういやなのぉ・・・」 「あんごさんがでてりゅのに・・・まだいぎれる・・・まだいぎてりゅの・・・」 喋れなくなってもれいむはまだ生きていた。 れいむが経験した時間はココまでで0.9秒程度である。 しかし、投薬により成長と思考を加速させられたれいむにとっての時間は 赤ちゃんゆっくりが成体ゆっくりに成長する程の時間的感覚がある。 れいむが完全に潰れて生体機能を停止するまでは残り2秒程しかない。 一瞬の油断が大事故を引き起こす事もある。 我々もこのれいむを見習って、ハンドルを握る際には一瞬も気を抜く事無く 人生の時間を大事にしたいものである。 ★輝ける未来へ★ 技術の進歩に伴い、交通事情はめぐるましく変化し、 安全管理もそれに対応する事が求められている。 ゆっくりを利用した交通安全対策製品は日進月歩でありまだまだ研究段階である。 これからも様々な新製品が開発されて人命保護に役立つだろう。 作者当てシリーズ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11995/1227272050/(※リンク切れ) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2995.html
ゆっくりの逃避行 丙 比較的ゲスなゆっくり 比較的善良なゆっくり 微ぺにまむ注意 原作キャラ一部登場 賢いゆっくりは漢字を使います そしておそらく俺設定 どこまで広がるとも知れない広大な森があった。 その広大な森に棲むゆっくりの数は数知れないが、とある群れは森の中でも飛びぬけて規模が大きかった。 規模は大きすぎて正確な数字は分からない、だが少なく見積もっても千近くはいるだろう。 れいむやまりさといった一般種から肉食種や雑食種、被迫害対象とされる種を除くあらゆるゆっくりが所属していた。 この群れも元々は二つの家族から始まった。 一つの家族はれいむとありすのつがい、そしてもう一つはまりさとぱちゅりーのつがいであった。 片方は多くの子供を産み比較的大きな家族であったが、もう片方は体の弱いぱちゅりーを気遣ったまりさの計らいで子供は一匹しか産まなかった。 二つの家族は巣が近かったこともあり、家族ぐるみの付き合いであった。 やがて周辺のゆっくり達もその家族のまわりに集まり始めて、小さな群れを形成していた。 群れを形成した時点でまず問題になるのが、誰がリーダーとなるかである。 一部の自己主張の強い者は我こそはと名乗りを上げたが、群れの大半は二つの家族のどちらかと決めていた。 当の家族たちは互いに遠慮して譲り合う、群れのゆっくり達は是非リーダーにと推す。 仕方なく二つの家族のそれぞれ二匹ずつがリーダーとなる、四匹による共同統治体制を確立した。 リーダーが決まり群れが再び安定すると再び群れの規模は大きくなって遂に今の規模となった。 森には食料が豊富にあったが、森の近くには人間の暮らす村があった。 群れのゆっくり達の多くの者は森で採れる草や木の実、キノコや虫を食べて満足していたが、中には人間の育てた野菜の味を覚えてしまった者もいる。 そういう者達は森の食べ物に飽きると徒党を組んで夜の内にこっそりと盗んで来ることもしばしばあった。 初めはうまく行った。人間もゆっくりのことなどよく知らず、被害も恐らく獣のせいだろうと踏んで、ゆっくりには合わない大きさの罠を仕掛けていたからだ。 だが、次第にエスカレートしたゆっくり達は人間の家に上がり込み、「おうち宣言」をする者が現れた。 こうなると人間もただでは帰してくれない。仲間が死んだり、己も五体満足では帰ってくることのできない者が続出していたのだ。 だが舌の肥えたゆっくりたちは人間の食べ物が忘れられず、また里に降りて人間と衝突する。 帰ってきた者はまたその味を群れに広めてしまう。この悪循環は遂に人間が森に入ってくるという事態を招いた。 元々森に入る人間はいたが、炭や薪のために木を切る者、キノコや山菜を採る者等がいた。 だがその関係は極めて良好だった。ゆっくりが好奇心で近づいても、人間は傷つけたりせず、一緒に遊んでやったり餌をやったりする者も少なくなかった。 しかし、今回のそれは今までとは勝手が違った。まず人間が武器や松明を持っていたこと。 明らかな敵意が窺える。そしてゆっくりが「ゆっくりしていってね!!」とあいさつしても、返すことなくそれを嬲り殺した。 「ゆっぐ・・?」 「ゆゆっ!?おじさん、れいむたちにひどいことゆぎゃあ!!!」 「しね!ゆっくりをいぢめるわるいにんげんはさっsゆぎぃぇ!!」 「ゆっくりにげるよ!」 「も゛っどゆっぐりじだがっだよお゛お゛お゛・・・!」 多くのゆっくり達の悲鳴が森中に響いた。 そして多くのゆっくりが殺された。 だがまた多くのゆっくりが生き延びた。人間が殺すにはあまりにも数が多すぎたのだ。 ゆっくり達は人間を恐れるようになった。 以前と比べれば人間の里に入る者も数が減ったが、それでも人間の食べ物を求めるゆっくりは後を絶たなかった。 そのゆっくりがまた人間の山狩りを招いた。 こんなことが何回も続いた森のゆっくり達の群れが今回の舞台である。 「にんげんはぜんぜんゆっくりしてないよ!!」 「そうよ!こんなにかわいいわたしたちをへいきでころすなんていなかものすぎるわ!!」 れいむとありすのつがいは憤る。 「むきゅ、それは違うわ・・・きっとこうなったことにも原因があるはずよ!」 ぱちゅりーは反論する。人間が襲ってくることには何か理由があると考えたからだ。 「ゆ!そんなことしらないよ!れいむたちはなんにもわるいことしてないんだよ!!」 「きっととかいはなわたしたちにしっとしてるのよ!!」 自分たちに非はないと主張するれいむ・ありすのつがい。 この二匹に限ったことではないが、人間の畑を荒らすことを悪いことだと認識しているゆっくりはごく少数だった。 その少数というのも一度畑を荒らしてたが、辛くも逃げのび、これに懲りたゆっくりだ。 種にもよるが、ここまでゆっくりが学習するというのは自然界では相当珍しい。恐らく相当のトラウマが伴ったのだろう。 それでも懲りずに何度も畑を荒らしたり人家に侵入することをやめないゆっくりがいるあたり個体差の大きさを物語っている。 「むきゅ・・・」 ぱちゅりーは言い返せなかった。ぱちゅりー自身も畑を荒らしたことがないため、この行為の善悪が分からないのだ。 「まぁまぁ、ふたりともゆっくりおちつくんだぜ!」 ぱちゅりーのつがいであるまりさが二匹をなだめる。 このまりさは体の弱いぱちゅりーを思いやる優しいゆっくりであり、狩りも上手く群れでも中心的な存在だったが、如何せん頭がイマイチだった。 そのため、頭を使うことに関してはぱちゅりーに依存していることは否めなかった。 だが、この温厚な性格と頭の弱さは、まりさ種には多いと呼ばれる悪知恵によって増長したゲス種と呼ばれる物とは、このまりさを疎遠なものにしていた。 「まりさはどうおもってるの?」 「そうよ!ゆっくりしてるひまなんてないのよ!?」 「ゆゆっ・・・まりさはぱちゅりーのいうとおりだとおもうんだぜ・・・」 カカア天下でも恐妻家というわけでもないが、その意思もぱちゅりーと同じだった。 ぱちゅりーの意見が絶対であると信じて疑わなかっただけである。 今までも自分の考えと違えても、結果としてぱちゅりーの意見が正しいことが殆どだった。 そのためまりさは自分の意見もぱちゅりーに委ねるようになった。 「「まりさのいけんなんてあてにならないんだよ!!」」 結局解決の糸口が掴めぬまま、紛糾してしまった。 元々この家族は仲はよかった。 だが、群れが大きくなるにつれて、群れの方針に関して衝突することが起き始めた。 例えば、すっきりすることを制限すべきか、あるいは餌の配給制の導入等、ぱちゅりーが提案したものが多い。 しかし、押しの強いれいむとありすは自分達の気に入らないものは改定させることが多かった。 ましてやすっきりの制限などはありすにとって認められる筈もなく、実現しなかった。 そのために今の大きさまで群れが拡大した原因といってもいい。 餌の配給に関しても本来は越冬のために提案したものが、一部のゆっくりが独占するものに形を変えてしまった。 やがて群れのためによかれと思って提案してきた案が都合よく改定されることにぱちゅりーは不満を抱いた。 それを指摘すると二匹に糾弾され、結局群れのリーダーは二派に分裂してしまった。 分裂したといっても、群れの多くはれいむとありすのつがいを支持した。 多くのゆっくりにとってぱちゅりーの考えは堅苦しくてゆっくりできないものだという認識を持っていた。 確かに群れの知恵袋として信頼もされていたが、直接自分たちの利害が絡むとれいむやありすの方が共感が持てた。 まりさは確かに信頼されているゆっくりだが、リーダーとしては引っ込み思案で、陰が薄い。 そのため群れの大勢はれいむとありすの考えに同調していた。 勿論、一部のゆっくりはぱちゅりーの考えを支持する者もいた。 少しばかりの思慮分別のあるゆっくりや、人里に降りて畑荒らしに懲りたゆっくり達がこれに当たる。 といっても基本的にゆっくりは自分たちと相容れない者を排斥する傾向があるので、 これらのゆっくり達の群れの中での地位は比較的低い者が多かった。 ある時、ぱちゅりーは人里へ降りることを決意した。 解決しない問題の答えは人里にあるのではと考えたのだ。 畑を荒らしたはいいが人間にこっぴどい目に遭わされたゆっくりの話を聞き、人間の話を聞いてみたいと考えたのだ。 やがてぱちゅりーはまりさと数匹のゆっくりを伴って人里へ降りて行った。 人里が見えてきて、ぱちゅりー達は木の陰から村の様子を窺った。 見たところは危ない人間はいなさそうであると判断し、近くで畑を耕していた初老の男性に声をかけた。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 ここでゆっくり達のお馴染みの挨拶である。 もしこの男が虐待趣味があれば間違いなく一行は餡子の塊になっていただろう。 だが幸いにもこの男に虐待趣味はなかったようで、 「なんだ、ゆっくりか・・・」と顔をしかめて返しただけであった。 男の畑は森に近く、ゆっくりによく畑を荒らされていたためか、よい感情は抱いていないようだったが、ぱちゅりーはなんとか会話を試みた。 「むきゅ、おじさん、ちょっとお時間頂いてもいいかしら。」 「なんだってんだ、餌を寄越せってんならまた叩き潰すぞ?」 非常に不機嫌そうだ、嗜虐嗜好がないにしてもやはりゆっくりは嫌っているのか。 「そんなことは言わないわ。一つだけ村の人に尋ねたいことがあるの。」 「俺だって暇じゃねぇんだ。手短に済ませよ。」 「むきゅ、どうして人間は今まではゆっくりを殺さなかったのに、殺すようになったの?」 ぱちゅりーは思い切って尋ねた。後ろに並ぶ数匹のゆっくり達も緊張した面持ちだ。 「どうしてって・・・畑や家の食い物荒らされて黙ってるわけにゃいかねーだろうが・・・ こさえた野菜が食われちまったら俺たち農家は飢え死にするしかないんだよ。」 この発言にゆっくり達は首を傾げる。そして後ろにいたある一匹が、 「ゆ?でもおやさいさんはかってにはえてくる・・・」 言うや否や男は待ってましたとばかりにこう返した。 「勝手に生えてくるようにお前らには見えるんだろうなァ、でも勝手に生えてくるんなら畑なんて必要ないだろう。 俺たちは食ってくために畑に水やって雑草抜いて野菜を育ててるんだ。それを横から掠め取られたら誰だって腹が立つだろう?」 男の言うことに理解が追い付かない者もいたが、ぱちゅりーには十分理解できた。 「むきゅ、人間さんは私たちがお野菜を盗らなかったら、森に入って私たちを殺すことをやめてくれるのかしら?」 「ああ?少なくとも村総出で山狩りなんてのはしないさ。一部の若い衆はどうか知らんが・・・」 ぱちゅりーは男の言葉に一縷の望みを見出した。 そうか、人間の畑を荒らさなければいいのか! この時点ではまだぱちゅりーも楽観視していた。その場にいたゆっくりは比較的温厚かつ、利口な部類に入るゆっくり達で、 人間の畑を荒らした者も少なかったのだ。 「分かったわ!群れのみんなに人間さんの畑からお野菜を盗むのをやめさせるわ。」 「そうしてくれるとありがたいんだがな。だが次に畑を荒らすようなことがあればまた山狩りだ。よーく覚えておけよ?」 そう言うと男は去って行った。 早速、ぱちゅりー達は群れに帰り、れいむとありすに人間の畑で野菜を盗むことを群れで禁止することを提案をした。 しかし、二匹は野菜は勝手に生えてくるだの、悪い人間がひとりじめしているだのと旧来の主張を変えない。 仕方なく群れのゆっくり達に賛否を問うことにした。 説得すれば分かってもらえると信じていたのだ。 だが、群れの1000匹近い全てのゆっくりを集め、この提案の賛否を問うと、 「おいしいおやさいはみんなでたべないとだめだよ!」 「にんげんがおやさいをひとりじめしてるんだぜ!!」 「わからないよー!おやさいはかってにはえてくるんだよー!」 「とかいはじゃないぱちゅりーはゆっくりできないわ!」 と二匹と全く変わらない答えが返ってきた。 ぱちゅりーの期待は脆くも崩れ去った。 群れのゆっくりは予想以上の数が畑荒らしで野菜の味を覚えてしまっていたのだ。 だが、人間ともう畑荒らしをしないと約束してしまった。 このままではまた人間がゆっくりを殺しに来てしまう。 しばらく説得を続けた。このままでは人間がまた森に来る、きっと後悔する・・・ だが群れの大多数の意見は変わりそうにない。 ならばどうする? ぱちゅりーは躊躇いながらも最終手段に出た。 「むきゅ!私の意見に賛成のゆっくりはこっち(左)に集まって! そして、私の意見に反対のゆっくりはあっち(右)に集まってね!!」 多くのゆっくりはぞろぞろと右側に集まった。 だが大凡70匹程度のゆっくりは左に移動した。 ぱちゅりーは左側に集まったゆっくり達にこう言った。 「あなた達はこの群れを離れて私についてきてくれるかしら? もしついてくるならそこにいて、群れを離れたくなかったらあっちに行ってちょうだい。」 一部のゆっくりは流石に群れを出る気はないのか右側に移動した。 結局左側に残ったゆっくりは大凡60匹ほどだった。 数百匹という巨大な群れから見れば60〜70匹など大した数ではないが、通常ならば十分群れを営んでいける数である。 ぱちゅりーは自分を支持するゆっくりと群れを離れ独立することを決めたのだ。 「早々に群れを離れるけどいいわね?」 ぱちゅりーは左側に集まったゆっくり達に尋ねた。 「あぶないならいそいだほうがいいよー!!」 「にんげんさんがくるまえにはやくはなれるんだぜ!!」 異論はないようだった。 「それじゃあれいむ、ありす、今まで世話になったわ、本当に今までありがとう・・・」 れいむとありすに別れの挨拶をした。 「ゆっ!いくならさっさとどっかいってね!!とろいやつはきらわれるよ!!」 「ふん!べつにさみしくなんかないからね!!」 そもそも煙たく思っていたためさっさと出て行くように急かした。 「そ、それじゃ二人ともこれでおわかれなんだぜ・・・」 まりさも二匹に別れを告げる。 「むきゅ、最後にもう一度だけ忠告してくけど、人間さんにはくれぐれも気をつけてね。」 そういうと60匹のゆっくり達を伴ってぱちゅりーは群れを離れて行った。 逃亡開始一日目 勢いよく飛び出してきたはいいが、やはり60匹という数は多かった。 小規模な群れが移動しているのと同じである。通常ゆっくりは定住する場所を決めたら群れでそこを離れることはない。 移動を考える事態に陥ってしまうと、食べ物が尽き、移動する前に群れが餓えてしまうからだ。 多少の食べ物を持ってきたとはいえ、長くは持つまい、早く新しいゆっくりぷれいすを見つけなければとぱちゅりーは焦った。 とにかく夜になる前に洞穴を見つけ、そこに宿をとることにした。 運がよかったのだろう、逃亡開始一日目は誰一人欠けることなく夜を明かすことができた。 逃亡開始二日目 太陽が昇ってまだ間もない時間帯にゆっくり達は目覚めた。 ぱちゅりーはできるだけ早く遠くまで移動したかったため、朝食も早々に済ませ移動を開始した。 「まだねむいよー・・・」 「じぇんじぇんゆっくちちてにゃいよ・・・」 ゆっくり達も不満そうだがしぶしぶ付いてくる。 天気はやや曇り気味で湿気もやや高い。天候と疲れがゆっくり達の士気を容赦なく下げる。 だがゆっくりが二日歩いた程度では人間の行動範囲内から逃れることは叶わない。 ぱちゅりーはゆっくり達を必死に励ましながら強行軍を続ける。 「みんながんばるんだぜ!いまがんばったらあとでもっとゆっくりできるんだぜ!!」 つがいのまりさも必死に励ましてくれる。 その日は結局いい寝床が見つからず野宿だった。 だがまだ誰も欠けていない、このまま上手くいくようにとぱちゅりーは願った。 逃亡開始三日目 その日はやや小雨の降るゆっくりにとっては好ましくない天気であった。 体が溶けるほどではないが、早く雨を凌げる場所に移動しなければ危ない。 ぱちゅりーは目覚めるとすぐに離れるよう指示をした。ゆっくり達は慌ただしく雨を凌げる場所を求めて移動を始めた。 しばらくすると大きな木が見えてみてそこの木陰で休息を取ることにした。 雨脚は幸いにも先程より弱まっていたが、しばらくはここに留まり休息することにした。 「ゆぅ・・・ぱちゅりー、なにかわるいよかんがするよ・・・」 つがいのまりさがぱちゅりーに弱々しく呟いた。 悪い予感、群れの狩人の代表格であったゆっくりの感である。れみりゃかふらんが近付いているのだろうか? 「むきゅ・・・悪い予感ってなに?それはもう近付いているのかしら?」 とにかく尋ねることにしたぱちゅりーであったが、そこまでは分からないとしか返ってこない。 早くここを離れるべきだろうか、考えている内に雨が上がっていた。 危機が迫っているなら早く離れた方が得策だと判断したぱちゅりーは、群れを先導し移動を開始した。 移動を開始してしばらくして、後ろから悲鳴が聞こえてきた。 「・・いぱー・りすだ・・ぁぁぁあああ・・あ・・・!!」 「んっほお・・・ぉぉ・!・か・いぃ・・・ぁぁぁ!!」 60匹の大行列である。最前列から最後尾までは結構な距離があった。そのため後ろの様子はよく分からなかった。 だがただ事でないことだけは分かる。 とにかく何事か確かめるために数匹のゆっくりとまりさを伴って最後尾へ向かった。 「んっほおおおおおお!!!すっきりいいいいいいいいいいい!!!」 「だずげでえええええええええええ!!ぼうずっぎりじだぐないいいいいいいい!?」 「つんでれなれいむもかわいいいわあああああああああ!!!」 「・・ぼっどゆっぐじ・・・じだがったよ・・・」 そこはまさしく地獄のような光景が広がっていた。 数匹のレイパーありすとそれに襲われ黒ずんだゆっくり達、そしてそれから逃れようと将棋倒しになり動けなくなったゆっくり達。 既に数匹のゆっくりが消し炭のようになっており、間もなく更に多くのゆっくりが同じ運命を辿ることになるだろう。 だがレイパーありす達はぱちゅりーとまりさ達を見ると、 「れいむとありすがいってたとってもすっきりさせてくれるぱちゅりーとまりさだわ!!」 「あのまりさはわたしのものよおおおおおおおお!!!」 と襲っていたゆっくりを放り出してぱちゅりー達のいる方へ向かってきた。 れいむとありす、つまりともに群れを治めていたあのつがいである。 何を思ったか二匹はぱちゅりーとまりさが群れを離れた後に、禍の種は絶っておこうと刺客を送り込んできたのだ。 それがレイパーありすだということはついてきたゆっくり諸共、消すつもりなのだろう。 これだけのことを頭のクリームで処理している内に、レイパーありす達は今にも飛び掛からんという所まで近づいていた。 レイパーありす達が飛び掛かろうとした瞬間、まりさがありす達に体当たりを仕掛けた。 ありす達は跳ね飛ばされたが、何匹かは体勢を崩すに留まった。 「まりさったらおませさんねええええええ!!」 「はげしいあいもきらいじゃないわよおおおおおお!!!」 まりさは体を膨らませて威嚇しているが全く効果がない。 そうしてる間にありす達はまりさを取り囲みぺにぺにを突き立てはじめた。 「ま、まりさはここでありすをくいとめるよ!ぱちゅりーはみんなをつれてはやくにげてね!!」 つまりは囮になるということである。勿論ぱちゅりーにそんなことができるわけがない。 「むきゅ!?そんなことできるわけないわ!!」 「いいからはやくにげてねっ!!!このままじゃみんなゆっくりできなくなるよ!!」 まりさは語気を強めるが、ぱちゅりーは動こうとしない。 だが、ぱちゅりーについて来てこの惨劇に立ち会ったれいむ(当然群れリーダーとは別)とちぇんがぱちゅりーを連れてその場を逃げ出した。 「むきゅ!?二人とも放してね!!??このままじゃまりさがありすに殺されちゃうわ!!!」 だが二匹は放さず、一層足を速めた。まりさの意を汲んでの行動でもあったが、自己保身であったことも否めない。 「あそこはまりさにまかせないとみんなゆっくりできないんだよ!!」 「つらいのはわかるよー!でもいまふたりがしんじゃったらそれこそみんなおしまいだよー!!」 「ばりざあああああああああああああああああああ!!!・・・ゴホっ、エレエレ・・・」 やがて叫びすぎたぱちゅりーは中身を吐いて気を失った。 ぱちゅりー達が離れていくのを見届けると、まりさは体を大きく膨らませてぱちゅりー達が逃げた反対方向にいたありすに体当たりを仕掛け、包囲を脱した。 そしてまむまむをありすたちに見せ、ありす達を完全に自分に釘付けにした。 「ゆっ!いなかもののありすたちはさっさとしんでね!くやしかったらまりさをつかまえてね!!」 まりさはありす達を挑発するとぱちゅりー達と反対方向に走り出した。 「ありずはいながものなんかじゃないわああああああああああ!!!」 「いなかもののまりさはありすのとかいはのてくにっくですっきりさせてあげるわあああああ!!!」 「ゆっくりしてないでさっさとつかまりなさいね!!!」 しばらく間追いかけっこが続いたが、やがてまりさが力尽きありす達に追い付かれてしまった。 「・・・・・・・・・・・・!!!」 「「「・・っき・いぃーー・・・ー!・・・・」」」 れいむとちぇんはぱちゅりーを抱えながら遥か後方から聞こえてくる断末魔とレイパー達の雄たけびを聞くしかなかった。 結局この騒動でありすに襲われたり、群れからはぐれたゆっくりが20匹近く、 そしてぱちゅりーの最愛のパートナーであるまりさを失った。 その晩、気がついたぱちゅりーはただ泣くことしかできず、他のゆっくり達もありすの襲撃を恐れて満足に眠ることもできなかった。 人里の集会所 その晩、人間達は集会所でゆっくり対策について意見を出し合っていた。 「・・・それでは、明日の早朝実行ということでよろしいかな?」 「異議なし、やはりゆっくりの約束など空約束でしたね、向こうから言っておいて次の日畑を荒らすとは呆れて物も言えませんな。」 「同感です。今度こそ徹底的に成敗してやりましょう!」 どうやら山狩りの打ち合わせのようだ。そこにはぱちゅりーが交渉した例の男もいた。 「やはりゆっくりはゆっくりと言うことか・・・期待した俺が馬鹿だった。」 「何、アンタが気を落とすことでもないさ、どうせ明日になりゃ全て片付くんだからな。」 「しかしなァ・・・上白沢様に御意見も伺わずに決めてよかったのかね・・・」 一人の男がある人物の名前を出して躊躇った。 「仕方ないさ、上白沢様は今里を留守にしてらっしゃる、帰ってこられるまで待ってたらそれこそ畑を食い尽されちまうかもしれん!」 「いや、だがしかし・・・」 その後も喧々諤々と話し合いは続いたが、結局は当初の計画の通りまとまった。 「それでは皆さん、明日はお願いします、解散!」 続く 過去作品 男と一家 きめぇ丸の恩返し 丙・丁 ゆっくりハザード 永遠亭の怪 楽園の終焉 感染拡大 内から侵食 by同志ゆっくり小町
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/278.html
ゆっくり新聞 いつものような穏やかな昼。 博麗神社の境内を掃除している霊夢の耳に、覇気のない声が聞こえた。 「毎度~、文々。新聞でーす……。」 射命丸文が自身で発行している新聞を配達しに来たようなのだが……。 「元気無いわね。」 これは霊夢の嫌味でも何でもない。 普段の射命丸なら、欝陶しくなる程に元気な声でやって来る筈なのだが。 「どうしたのよ?」 「実は、……ライバルが出現してね。」 「ライバル?」 霊夢が聞き返すと、射命丸は新聞を入れている鞄から紙らしきものを取り出して渡した。 「『ゆっくり新聞』……?」 受け取った霊夢がそう言うと、射命丸は大きく溜め息をついて語りだした。 そもそもは、射命丸が飼っていたきめぇ丸(体付き)の言葉に始まる。 「おねえさん、このきめぇ丸も、しんぶんをかいてみたいのですが。」 前々から、きめぇ丸が新聞に興味を持っているのを 知っていた射命丸は、色々ときめぇ丸に手解きをした。 しかし、考えてみるときめぇ丸に活字を組んだりすることは出来そうにもない。 「変な期待持たせちゃったかな……。」 と思っていた。 だがしかし。 しばらくして、喜々としたきめぇ丸が紙切れを持って来た。 「おねえさん、みてください!もりのみんなとかいた『ゆっくりしんぶん』です!!」 意外と上等な白い紙に、案外綺麗な字で書かれた、存外きちんとした体裁の手書き新聞だった。 「どうしたの、これ?活字を組んでる訳じゃなさそうだけど。」 「こうりんどうのおにいさんに『こぴーき』をかしてもらいまして。 おねえさんのしんぶんとは、おもむきがちがいますけどいかがですか?」 さっと目を通して見たが、ゆっくり達の日常が垣間見える微笑ましい記事だった。 「うん。いいと思うよ。お金はさすがに取れないけど、それは今後次第、だね。」 「ありがとうございます!!!」 きめぇ丸は嬉しそうに首を振動させた。 「あ、そうそう。今度からは私達はライバル同士。新聞に関しては基本的に不干渉ね。 相談には乗ってあげるけど。」 「がんばります!!きよくただしいきめぇ丸です!!」 「その結果がこれなのよ……。」 ぼやく射命丸。 そう言われ、件のゆっくり新聞を見た霊夢は納得した。 それは射命丸の回想の中と比べて、かなり内容が強化されていた。 まずは、ゆっくりまりさへの取材を元にした、食用キノコや魔法用キノコの紹介や旬、 その棲息場所を書いている記事。 1人には確実に需要がある。 次に、ゆっくりぱちゅりーによる薬草・毒草講座。 更にゆっくりけーねのゆっくりパズルや、ゆっくりありすのゆっくりトレンドコーナー、 ゆっくりあきゅんのゆっくり昔話など。 特集は『てっていきゅうめい!ドスまりさはじつざいするのか!!その⑨の3』 週刊新聞だそうだが、かなり力が入っていた。 ……香霖堂の広告まである。 「最近じゃ文々。新聞より面白いとか言われるみたいでね……立つ瀬がないのよ。」 そう言うと射命丸はまた溜め息をついた。 「まぁ、あんたも醜聞記事ばかり書いてないで 工夫しろってことじゃない? 精進しなさいよ。」 「ぎゃふん。」 ―― 今回も流れを読まないお目汚しで申し訳ありませんでした。 by.ゆっくり怪談の人 射命丸はスキャンダルばっかり追いかけてるからなぁ・・・ -- 名無しさん (2010-11-27 19 25 46) ゆっくり新聞見てみたい -- ゆっくり好きのただのオタク (2012-10-23 21 00 18) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/449.html
※この文章はフィクションであり、作者の創作を多分に含む物です。 実在の人物・団体とは一切関係なく、またこれらを誹謗・中傷するものではありません。 最初の記憶は、自分を心配そうに見つめる母親の顔だった。 母親に関する最後の記憶は、ボウガンで射貫かれ絶命している顔だった。 母親と――そして自分の姉妹を殺した人間は、自分だけ生かした。 自分を連れて行った先には見たことがないゆっくり達が大勢いた。 『ゆっくり大サーカス』 狭苦しいカゴから出された先は狭苦しくはないカゴで、正直そのゆっくりは自分の命について諦めていた。 ああ、そのうち食べられるんだな、と。 だから自分以外に生きているゆっくりが大勢、少なくとも自分では数え切れないくらいいるのには正直驚いた。 そのゆっくり達は全員等しく薄汚れてはいたが、生命に支障をきたしている様子はない。 「ゆっくりしていってね!!!」 「よこそ」 「ゆっくりしてね」 一見して元気そうだからこそ、ゆっくり達の淡泊な反応が気になった。 きっとゆっくりできない酷いことをされたんだね、と涙するゆっくりだった。 そのゆっくりは暗いカゴの中でしばし放置された。彼女の体内時計で朝、おそらく太陽がかなり高くなる時間帯までは。 彼女は一晩中先客達に話しかけた。 「ここはゆっくりできるところ!?」 「……さあ」 「あなたたちはゆっくりできてる!?」 「……さあ」 「どうしてなんもはなしてくれないの!!」 「……さあ」 終始こんな調子だったので、終いには彼女が腹を立てて黙り込んでしまった。 「もういいよ! ゆっくりできないひとたちだね!」 「……そう」 これで色素の薄い美少女が包帯でも巻いていればまだ楽しめたのだが、周りにいるのはただの薄汚れたゆっくりだ。 いい加減退屈が有頂天になる頃、ようやく光が差し込んできた。暗い部屋の扉が開かれ、人間が入ってきたのだ。 入ってきたのは2人、片方がもう片方に何やら質問している。 「――、――?」 「――。――、――」 「ねえ! こそこそしゃべってないでおみずとごはんをとりにいかせてよ!!」 おそらく自分の家族を殺した人間の仲間であろうことは彼女も理解できるので、せめてもの意思表示をしてみた。 殺すならとっとと殺せ。その気がないなら解放しろ。 人間達は彼女の言葉に気付かなかったかのように会話を続け、しばらくして主に質問をしていた方の人間が彼女がいるカゴの中に入ってきた。 「ゆ? なにすブルァァァァアア!!!」 問答無用で殴り飛ばされた。 堅い棒に柔らかい物を巻き付けた、そんな感触だったのを驚愕の中で彼女は気付いた。 頭に棒を振り下ろされ、右頬を張り飛ばされ、部屋の中で響く殴打の音が止むことはなく。 何で、と。理不尽としか思えない暴力の理由を問う間も与えられず、時間の感覚が無くなるくらいに痛めつけられた。 そう、痛めつけられたのだ。人間に彼女を殺す意図はなく、ひたすら彼女に痛みを与えるだけのための殴打だ。 体が3倍に腫れ上がり、呼吸の仕方が分らなくなったあたりで暴力が止んだ。 何だか知らないが、気が済んだのだろうか。 人間は次に、彼女を暗い袋の中に入れ、天井から吊るした。 厚い布の中はただでさえ少なかった外界からの刺激をほぼゼロにする。 「う……。だじて……」 かろうじて言い返せたが、当然反応はない。それどころか、先ほどまでとは違う激痛が彼女を襲った。 体の中で痛覚が破裂するかのような激痛が。 「ぁ――――!!! っ――――!!!」 彼女は知らなかったが、それは電気ショックによる痛みだった。 全身が痙攣し、意識に反してメチャクチャに暴れる。息が出来ない その激痛が止んだ。 「う……? よかっ――!! ぁぁぁぁぁああ――――!!!」 安息は数秒に満たなかった。激痛が止み、彼女が自身の生存を確認した瞬間に次の波が襲ってきた。 永遠と勘違いする数秒の責め苦と、須臾にすら足りない数秒の安息が交互に繰り返される。 拷問は日が暮れるまで続き、先客のゆっくり達はショックにより空中で跳ね回る黒い袋をじっと……否、ただ漫然と眺め続けた。 それらの顔に一切の感情はない。 彼女が袋から出されたとき、先客達には餌が与えられていた。 彼女が今まで見たどんな食物にも似ていないその物体は酷くグロテスクに見える。 それも当然である。その餌は必要最低限の栄養と満腹感だけをできる限り安く提供するよう作られた合成餌で、 抗生物質と精神安定剤がふんだんに混ぜられていた。 脂汗にまみれた彼女の所にも1匹分の餌がもたらされる。本能が告げる、これを食ってはならない。 「ぃ……やだよ! そんなものたべないよ!」 彼女にとっては決死の宣言だった。おそらくこの人間達は自分を殺すことを全く躊躇しないし、その意思に応える武器も持っている。 だが、人間達にとっては想定内どころか慣れ親しんだ戯れ言に過ぎなかったようで。 慌てるどころか二言三言交わしただけで、1人の人間が彼女に慣れた手つきで注射を施す。 アンプルには『合成麻薬ゆっくり用』と書かれていた。 ――世界が変わった。 時間の流れは止まり、この世には光が満ちた。 空間はねじ曲がり、極彩色の宝石が漂っている。 絹の川の中に溺れ、あらゆる美味が口の中に溢れた。 全能が彼女の中に存在し、全知が目の前に後光を持って屹立していた。 あらゆる苦痛が消え、彼女が幸福の中眠りに墜ちようとしたところで目が醒めた。 暗くて汚いカゴの中に逆戻りだ。 身動ぎ1つ満足にできない狭いカゴの中で彼女は酩酊していた。 冷たい雨が身を打ち、内臓が――内容物が反転しそうな吐き気と脳天に五寸釘を打ち込まれたような頭痛だけが現実だった。 「ゆ……」 とりあえず喉の渇きは抑えられそうだと吐き気を抑えて雨水を飲む。 だが、ひりつく乾きはいつまで経っても止まない。 それどころか時間を追うごとに乾きは熱を以て彼女を苛む。 五寸釘の本数は際限無く増え、シェイクされた内容物は嗚咽とともに今にも口から出てきそうだ。 いっそ殺せ。痛みですり減った精神がそう思えるくらいにまでは回復してきた頃、彼女の意識は暗黒に飲み込まれた。 誰かが自分を起きろとせっつく。 鉛より重いまぶたをこじ開けると、人間が餌の皿を持って目の前にいた。 頭痛も吐き気も相変わらず最悪だ。目の前に置かれた皿を拒絶するつもりで目をくれると、予想外の代物が鎮座していた。 虫の塊である。 彼女とて野生のゆっくりであったのだ。虫くらい幾らでも食べてきた。 なのにその虫を直視することができなかった。 彼女の持つ嫌悪感がそのまま具現化したような醜い虫が彼女に牙を剥いている。 刹那理解した。この虫は自分に取って代わって『自分』に成り代わるつもりだと。 「こここ、このむしさん、どこかにやってよ!」 「――? ――?」 「なんでみえないの! おさらいっぱいにむしさんがいるじゃない!」 どこを見ているんだ、と人間を睨み付けたところで文句が喉の奥に引っ込んだ。 人間の体中に目玉が開いていた。 ギョロギョロと充血した目玉は全て彼女の方を向き、等しく発情していた。 1度見かけた発情期のありすでさえこれほどではなかったと言うほどの情欲が目玉から零れ、彼女を濡らしている。 「いやぁぁぁああ、こ゛わいよ゛ぉぉぉおお!! そのおめめ、やめて゛! なんでもずるがらぁ! た゛すけてぇぇええ!!!」 「――、――」 「ごはん? ごはんたべればおめめやめてくれるの? ごはんて……こ゛のむし゛さんぜんぶたべるのぉぉぉおお!?」 「――?」 「わか゛りました゛ぁぁあああ!! わがままいいませんからぁぁああ!!」 口の中で暴れる感触に嘔吐を堪えつつ、餌をほぼ丸呑みする。咀嚼する勇気はなかった。 餌を食べていると、いつの間にか虫も目玉も消えていた。 さっきまで一体何を怖がっていたのかが分らなくなり、それを思い出すのが酷く億劫に感じる。 「――、――、――!」 「うん? おもったよりらくなやつだ? わたしはすなおでいいこだよ? ほめてくれるの?」 彼女の反応が期待以上だったのだろうか、人間が嬉しそうな声を上げる。 褒められたのだろうと好意的に解釈しておこう。 その後、昨日の大きいカゴの中に戻された。先客達の体臭が少ししたが気にならない。 そのまま暗くて静かなカゴの中で最高にゆっくりできた。 しばらくすると、喉がすごく渇いてきたし、体の中で虫が暴れはじめたが慌てない。 あのご飯を食べるときっと直るから。 だが、ご飯はいつまで経っても与えられなかった。 耳の中が虫の羽音で一杯になり、いい加減ウンザリし始めた頃、ようやくご飯がきた。 だが、彼女にだけご飯が与えられない。 途端に、崖から突き落とされたような我慢できない不安に襲われる。 まさかこのまま? ごはんたべられないの? だが人間は優しかった。言うことを聞けばご飯をくれるという。 どこかへ連れて行かれ、細めの橋の前――平均台の前に置かれる。 どうやらこれを上手に渡れればご飯をくれるらしい。 「ゆ……。こんなのかんたんだよ」 これより狭い橋、川に架かった頼りない棒きれなら何度も渡ってきた。なんてことはない。 見事に渡りきった彼女にご飯が与えられる。 安心してご飯を食べると、先客達がやってきた。 皆、彼女に与えられた課題よりも遙かに難しい課題を次々に成功させている。 燃え上がる輪をくぐったり。 落ちたら大けがをしそうな高さで遊んでいたり――くうちゅうブランコというらしい。 大砲の上に乗って、何かが爆発する轟音にもたじろがすダンスを踊っている子もいる。 なるほど、皆あんな難しいことをしているから、ご褒美にご飯が貰えるんだね。 ようやく理解したよ。 「――!!」 「ゆ。サーカスっていうんだ。ゆっくりおぼえた」 PN水半分 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2140.html
※肉体イージー虐待、精神ハード虐待 ※虐待される一方で虐待されず幸せになるゆっくりがいます。 ※前半持ち上げ、後半叩き落します 【マタニティゆっくり】 「む~しゃむしゃ、しあわせ~♪」 一匹のゆっくりまりさが与えられた食べ物を食べてる最中にそう言った。 「こらっ、ものをおくちにいれながら喋っちゃ駄目でしょ。」 「ゆ~、ごめんなさい・・・」 傍にいる女性に行為を咎められ、まりさはそう謝った。 「しあわせ~、は ごはんがすんでからよ。わかった?」 「ゆっ!ゆっくりりかいしたよ~。」 しばらくして食事が終了した。 「む~しゃむしゃ、ごくん。しあわせ~。」 「ごちそうさま。」 女性はそういうと、床のゆっくりの食器と机の自分の食器を持って台所へと行く。 そして台所で食器を洗い片付ける。 一方、まりさはと言うと食後の余韻に浸ってだらしなく、ぐて~っその場に身を沈める。 ・・・ではなかった。 「おねえさん、まりさもてつだうよ。なんでもいって。」 ゆっくりらしからなぬ殊勝な申し出をする。 「ありがと、まりさ。でも大丈夫よ。今はまりさにしてもらうことないから 奥でゆっくりしてなさい。」 「でも・・・・・・・・・おねえさんはいま・・・・・・。わかったよ、おねえさんがそういうならゆっくりさせてもらうね。」 「ごゆっくり♪」 せっかくの申し出を断られ、なおも何か言いたそうだったまりさは 女性の厚意に甘え、それこそ本当にゆっくりらしくその場にぐて~っと身を沈めくつろぎはじめた。 食器を洗う水の音。窓から入ってくる木漏れ日と優しい風。 全身に広がる満腹感。まりさはゆっくりと幸せをかみ締めていた。 この女性と暮らすようになってからもう何ヶ月過ぎただろうか。 まりさは彼女が大好きだった。 食べ物をくれて甘えさせてくれるからじゃない。 この女性から与えられたことはたくさんあった。それこそ言葉では言い尽くせないほどに。 ─数ヶ月前─ 「この腐れ饅頭め、今日という今日は勘弁ならねぇぞ。」 「ゆううううう、はなしてね。ゆっくりしないではなしてねええええええええ。」 「いやあああああ、おねがいゆるしてえええええ。やあああああああああああああああああ」 「わからないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 「むきゅうううううう、だからはだげおぞうのなんでやめようっでいっだのにいいいいい。」 「ごべんなざいいいい、なんでもじまずからごろざないでえええええええええ」 数人の男達に抱えられ、畑荒らしの現行犯で捕まった十数匹のゆっくりたちは様々な悲鳴を上げていた。 そのなかには、今では女性と幸せに暮らしている、このゆっくりまりさもいた。 次々と透明な箱に入れられ、運ばれて着いた先は加工所だった。 「がごうじょいやあああああああああ、ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいい。」 畑荒らし仲間の内の一匹であるゆっくりありすが加工所を見るなりそう言って餡子を少し吐き出した。 かこうじょ。 その言葉を聞いてまりさは恐怖に怯えた。 今まで加工所に言ったゆっくりの話は仲間内から聞いてたがどれもゆっくりできる内容のものではなかった。 やれ拷問されて殺される、やれ発情ありすと無理やりすっきりされて殺される、髪飾りや帽子を取られ一生奴隷としてこき使われる。 虚言、憶測を含め“かこうじょ”はゆっくりの恐怖の代名詞となっていた。 そして今それを目の前にし、現実味を帯びてまりさの精神を蝕む死の恐怖に心の底から震え上がった。 いやだ。しにたくない。たすけて。だれかまりさをたすけて。まりさをたすけてゆっくりさせて。 だが、願えば願うほどに、今まで加工所から返ってきたゆっくりなどいないという現実が こんなときに限って回転の速い餡子脳の自分の頭の中に何度も突きつけられ、その奇跡の起こる可能性を消していった。 もう駄目だ。 恐怖の海でまりさは諦め、これから確実に訪れるあろう死に怯えた。 だが、死はやってこなかった。 一人の女性が自分を引き取ってくれたのだった。 崖っぷちのぎりぎりのところでまりさは拾われたのであった。 それが今まりさと一緒に住んでいる女性である。 それからは色々とあった。だがその内容を思い出せば思い出すほど、まりさは当時の自分を恥じ、そして怒りさえ覚えた。 命が助かったとわかった途端に開き直り、以前のような横暴な言動を繰り返した。 女性の叱責をうるさいとしか思えず、助けてくれたはずの女性に自分の要求のみを追及した。 今、自分がその時の女性の立場だったらそんなまりさを確実にボコボコしてただろう。 それくらい当時自分は最悪だったと思っていた。 だが、女性はそんな自分に決して諦めることも、見捨てることもなく 社会のルール、人間の世界での立ち振る舞いかたというものを教えてくれた。 時には厳しさもあった。体罰を受けることもあった。 でもその中には自分への優しさが必ず含まれていたのは今の自分はしみじみと思い出す。 そんな女性の献身のかいあってか、畑荒らしして加工所送りにされかけたことすらある、 このまりさは、今では飼いゆっくり並にゆっくり出来てる立派なゆっくりだ。 畑荒らしをしてたころの自分が恥ずかしく思い、そしてそんな教養を育んでくれた女性にまりさは感謝していた。 「まりさ~、やっぱりてつだってほしんだけど~、フィッツジェラルドとマイケルにごはんやってきてくれる~?」 「ゆっ!ゆっくりわかったよ。ゆっくりやるね。」 そう言ってまりさは即座に行動を開始する。 「いぬさん、ねこさん、ごはんだよ。ゆっくりたべてね。」 まりさが餌をやっているのは女性の家で飼われてて一緒に住んでいる犬と猫である。 「わんっ!」 「みゃ~!」 まりさは口の中で器用に開けた缶詰から取り出された中身を、餌別にフィッツジェラルドとマイケルの皿に出してやる。 二匹は出された餌に即座にかぶりつく。 「ゆっ、ぎょうぎわるいよ~。」 まりさがそう言っても聞く耳もたない。 人間と違い、言葉が通じないことを少しもどかしくなった。 はじめは「ゆっくりしていってね!」と言っても 「わん!」としか返されなかったことに発狂しかけたり(しないけど)、爪とぎ代わりにされたりもした。 しかし、今では言葉は通じなくとも同じ家で暮らす大切な家族。まりさはそう思っていた。 そしてもう一人増えるであろう家族の誕生を心待ちにしていた。 それは赤ちゃんである。 まりさの赤ちゃんではない。 それはまりさと一緒に暮らしてる女性の赤ちゃんである。彼女は今、妊娠中である。 まりさが最初にそのことに気づいたのは女性と一緒に暮らすようになって、4ヶ月してからのことだった。 横暴で傲慢だった性格も段々と矯正され、周りを見る余裕の出来た頃、女性のお腹が膨れていることに気づき、 そのことを聞いてみたところ、女性は自分が妊娠していることを教えてくれた。 自分のことにように嬉しかった。 自分を救い、色々と教えてくれた、一番大切な人に赤ちゃんが出来たこと。 まりさも赤ちゃんは大好きだ。なぜなら赤ちゃんはとてもゆっくり出来るから。 まりさもいつか赤ちゃんを作ってゆっくりしたい。そんな赤ちゃんが自分の大好きなお姉さんに出来た。 その日は一日中「ゆっゆ~♪あかちゃん~あかちゃん~、おねえさんのあかちゃん~、ゆっゆ~♪」と喜んで踊ってた。 ある日、まりさは女性と外出した。 しばらくすると、目の前からゆっくりが二匹現れた。どれもまりさが見覚えのあるゆっくりであった。 そして二匹ともまりさと同じように女性と、誰からも妊娠中とわかる女性と一緒にいた。 「ゆっ!ゆっくりしていってね。」 まりさの挨拶に 「「ゆっくりしていってね!」」 二匹のゆっくりが同時に挨拶を返す。 挨拶を返したゆっくりはそれぞれゆっくりありすとゆっくりぱちゅりー。 三匹は顔見知りだった。 なぜならその二匹のゆっくりは、まりさの野良時代からの親友であり かつてまりさと一緒に人間の畑を襲い、捕まり、加工場に送られたゆっくりだったのだから。 そしてまりさと同じように、人間に拾われ命を救われたゆっくりでもあった。 「ゆっ!ありす、ぱちゅりー、ひさしぶりだね~。ゆっくりしてた?」 「もちろんよ、まりさ。とかいはなありすはつねにゆっくりしてるものよ。」 「むきゅ~。ぱちゅりーもゆっくりしてたよ~。」 久しぶりの旧友との再会に話を弾ませる。 それは人間の方も同じで、偶然出合った女性三人も友人同士の話に夢中になっていた。 「むきゅ~、ところでまりさとありすのところのあかちゃんはまだうまれないの~?」 話の途中ぱちゅりーはそんなことを聞いてきた。 「ゆっ!ありす、にんっしんしたの?」 突然の問いかけにびっくりしたまりさは、ありすにそう問いただした。 「むきゅっ、ちがうわ、おねえさんのことよっ。」 「ゆ~、そっちのあかちゃんのことなのね。うん、まだうまれないよ。でもはやくうまれるといいね。ありすもそうおもうでしょ。」 「とうぜんね。おねえさんにあかちゃんうまれたら、ありすがとかいはのたしなみをおしえてあげるわ。」 「むきゅ~、たのしみね~」 三匹は再び他愛の無い会話をゆっくり楽しんだ後、女性達に促されてその場を後にした。 その夜、まりさはお姉さんと一緒にお風呂に入って髪を洗ってもらった。 「ゆっ、ゆ~♪ おねえさん、まりさのかみゆっくりきれいきれいにしてね。」 「はいはい。」 お湯ではすぐにふやけてしまうために、水でのシャンプーだったがまりさはさっぱりして満足だった。 やがてお風呂から上がると女性は言った。 「今日も帰り遅いみたいだから先に寝よっか。」 「そうだね。ゆっくりねむるね。」 遅い、というのは女性の妊娠の相手の男性のことである。 いつも夜遅く帰って昼ごろには出かけるために、まりさとは休日と朝以外に接する機会が無かったが その男性も女性同様優しかったために、まりさは彼のことが女性ほどではないにしろ好きだった。 やがて夜も更け、寝息と虫の声しか聞こえなくなったとき、まりさは妙なうめき声で目が覚めた。 何かと思い、声のする方を見て、まりさは声を失った。 隣で寝ていた筈の女性が額からは脂汗を流し、顔を普段の優しい面影など微塵も感じないほどに苦痛で歪ませていた。 まりさは何が起こったのか理解出来なかったが、直感で大好きな女性が危険な状態にあるのだと気づき、 全力で意識を冷静さを取り戻すことに集中させ、20秒ほどして自分を取り戻した。 まりさは女性に必死に何度も呼びかけたが、まともな返事は返ってこない。 女性の口からぼそぼそと何かが聞こえるだけである。 彼女が何を言おうとしてるのか、まりさは呼びかけをやめて、聴覚に意識を傾けた。 「・・・か・・・ちゃん・・・・・・う・・・ま・・・れ・・・る・・・あ・・・か・・・ちゃ・・・ん・・・・・・」 わずかに、かすかに聞こえるだけの女性の声。 一体何を言おうとしてるのか。考えた。一生懸命考えた。 持てる知識と知能を全動員してまりさは一つの結論に達した。 赤ちゃんが生まれる まりさは動転した。女性が赤ちゃんが生まれると知ったところでどうすればいいのかわからない。 だけど女性は今でも苦しんでいる。このままでは赤ちゃんを生む前に死んでしまうのではないだろうか。 いやだ。大好きなお姉さんが死んじゃうなんて耐えられない。助けたい。何としてでも。何かしなければ。 そうだ、自分の力で助けられないのなら誰かに助けてもらえばいいんだ。 女性を救いたいまりさは部屋を飛び出し、助けを求めた。目の前にいたのは廊下で寝ていた猫のマイケルである。まりさは必死で呼びかけた。 「ねこさん、たいへんだよ、おねえさんにあかちゃんがうまれるよ。ゆっくりしてないではやくたすけてね。」 「みゃ~。」 だがマイケルはまりさの必死の呼びかけにも普段どおりだった。それどころか寝ていたところを起こされ不機嫌そうでもあった。 「どうじでなにもじないのおおおおお、おねえざんがだいへんなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 叫んだ後で、まりさは猫には言葉が通じないことを思い出した。 「ねこさんじゃ、だめだね。おねえさんはたすけられないよ。ねこさんはなにもしなくていいよ。 おねえさんはほかのひとにたすけてもらうから。」 そう言って再び駆け出して、玄関の隅にある猫用のドアから外へ出た。そこで見つけたのは犬小屋にいる犬のフィッツジェラルドだった。 マイケルの時と同じように必死で呼びかけ、マイケルの時と同じように失敗に気付いた。 まりさはどうしようもなかった。自分には元からどうしようも出来ない。 自分以外の家族の猫や犬は言葉さえ通じず、お姉さんの危機を理解することすら出来ない。 このままではお姉さんが死んでしまうかもしれない。絶望に心が沈む。 でも、諦めるわけにはいかなった。猫にも犬にも言葉が通じない以上、今お姉さんの危機を知ってるのも、 誰かに助けを呼ぶことが出来るのは自分だけである。 まりさは門から飛び出し誰か助けてくれる人を必死で探し、必死で考えてた。 そして隣の家の玄関まで来て、大声で叫んだ。 「おねがいじまずうううう、おねえざんをだずげでぐだざいいいいいいいいいいい。」 弧を描がいた三日月が照らす真夜中に、何度も叫んだ。 留守かと思い、去ろうと思ったときに扉がガチャッと開いた。 「うるせぇぞ。今何時だと思ってるんだ!踏み潰されたいのか糞饅頭。」 扉から現れた人間の声と顔は怒りで満ちていた。 怒っている人間など、ここ最近見てなかったまりさは、恐怖に竦み、 野良時代に畑を襲ったときに、逃げ遅れた仲間が人間に踏み潰されていったのを思い出した。 自分の脳裏に仲間達と同じように潰されて死ぬ自分を思い浮かべる。 だが引くわけにはいかなかった。ここで引いたら何しにきたのかわからない。 大切な人を見殺しにしてしまったら、自分が何のために存在しているのかわからなくなってしまう。 まりさは身を潰すような恐怖の中、精一杯の限り叫んだ。 「づぶじでもいいでづううう、だがらおでえざんをだずげでぐだざいいいいいいいいいい。 あがぢゃんがうばれづんでずううううううううううううううう!!!!!」 「・・・・・・・・だったら望みどおり潰し───」 まりさは死を覚悟した。 「・・・・・・・・・なんて言った?」 「ゆ?」 「お前なんて言ったんだ?お姉さん・・・?赤ちゃん・・・?そう言ったか?」 「ゆううう!いいばじだぁ、あがじゃんうばれるんでずううう、おねえざんあがじゃん、うばれ、ぐるじぞう。」 「どこだ。あんないしろ。」 それからの展開は早かった。 助けを求めた隣の家の男性は、倒れてる女性を発見するなり即座に病院へと連絡をし、 しばらくすると駆けつけた医者とその見習い達によって病院へと運ばれていった。まりさも付き添っていった。 「か・・・家内はどうなったんだですか!?赤ん坊は・・・!!」 女性の治療の行われてる部屋の前で椅子に座ってるまりさの前に息を切らして男性がやってきた。 まりさと一緒に住んでいる女性と一緒に住んでいる人、要するに女性の夫である。 彼はまりさの前まで来て、あたり構わず周りの人に向かっては自分の疑問を叫び続けた。 「ゆっ!おいしゃさんがいまこのへやでおねえさんなおしてるよ。」 その疑問に答えたのはまりさだった。 男性はまりさの返答に答えず、黙って椅子に腰を下ろした。 どれくらい時間がたっただろうか。 扉が開き、中から医者が出てきた。 「先生!家内は・・・赤ん坊は・・・・・・」 医者は暗い顔で言った。 「母子ともに・・・大変危険な状態です。現在、最善をつくしておりますが・・・楽観は出来ません。 最悪どちらか、いえ赤ん坊を諦めざるえないことになる可能性もあります。」 「そんな・・・・・・結婚して8年・・・やっと子供が出来たのに諦めるなんて・・・・・・・・・・・・そんなこと出来るわけないだろ!」 「心中お察しします。我々も全力を尽くしますが・・・もしもの時の決断は覚悟しておいてください。」 医者はそういうと再び治療室の中へ戻っていった。 男性は頭を抱えてその場にしゃがみこんだ。 難しい言い回しはわからないまりさだったが、今の医者と男性の反応を見て主な内容はだいたいわかった。 それはまりさにとっても残酷な通知だった。 あかちゃんがうまれない。それどころかおねえさんもあぶない。もしかしたらおねえさんがしんでしまうかもしれない。 まりさの頭の中で自分にいつも優しく笑ってくれた女性の笑顔が崩れていった。 まりさは願った。女性が助かることを。赤ちゃんが無事産まれることを。 それは今まで生きてきた中で一番強い願い、加工場に捕まった時の自分の救命よりも強い願いだった。 おねがいします、おねえさんをたすけてください、 まりさのいのちをたすけてくれたおねえさんを、まりさにいろいろたいせつなことをおしえてくれたおねえさんを、 じぶんにたくさんのゆっくりをあたえてくれたおねえさんをたすけてください。 おねがいします、あかちゃんをたすけてください、 おねえさんがうまれるのをとてもとてもたのしみしてたあかちゃんをどうかどうかたすけてください。 たとえ・・・・・・ まりさがかわりにしんでもいいから・・・ おねえさんと あかちゃんを たすけてください・・・・・・・・・ どれくらい時間が過ぎただろうか。医者が治療室から出てきた。 男性はゆっくりとその顔を上げた。だが言葉が出なかった。 言葉が出せない。もし聞いて自分に残酷な現実を叩きつけられたら・・・。聞けない。何も。聞かなければいけないのに。 恐怖が男性を支配した。誰も何も言わない静寂の中、一秒が永遠とも言えるように感じた。 その静寂を破ったのは医者だった。 「・・・おめでとうございます。」 「・・・・・・・・・・・・え?」 「健康な男の子です。母子ともに異常ありません!」 しばらくの間の後、男性は大きくガッツポーズを取り、涙を流しながら叫んだ。 「危険な状態でした。私の長い医師生活の中でも上位に来るほどの。でももう心配いりませんよ。」 「ありがとうございます。ありがとうございます。先生。」 男性は泣きじゃくりながら何度も医者にお礼を言った。 その光景を見ながら、まりさも女性と赤ん坊が助かったことを知り、涙を流していた。 「それでは赤ちゃんのお顔を拝見したら、最後に奥さんにねぎらいの言葉でもかけてやってください。 申し訳ないですが夜遅いですし大変消耗してますので、今日のところは短めに済ませてくださいね。」 「はい、わかってます。・・・く~、やっとやっとうまれたんだな。俺もこれで父親かぁ~。」 男性はそう言って赤ん坊の顔をひとしきり眺めたあと、治療室から入院部屋へと移された女性に会いに言った。 赤ん坊の顔はまりさも男性に頼んで抱え上げてもらい見せてもらった。 産まれたばかりの赤ちゃんの顔はしわくちゃだが、そんなものでは覆せないほどの愛しさがまりさにもこみあげてきた。 「・・・あ・・・そういえば・・・・・・・・・」 男性と一緒に病院の廊下を歩いてると男性が突然足を止めつぶやいた。 そして視線をまりさに移しながら、こういった。 「・・・・・・そういや・・・もう生まれたんだしなぁ・・・・・・でも一応あいつの意見聞かないと・・・・・・ これでも結構長い時間過ごしただろうし・・・・・・ま、あいつに限ってないと思うが・・・・・・ っていうかどっちにしろ、規約で産まれたら一旦返却しなきゃいけないんだから同じことか。」 「?」 まりさは男性の独り言の意味がわからなかった。 女性の入院している部屋で男性は女性をねぎらった。 女性はベッドから起き上がることなく疲れきった顔で男性の言葉を聞いてた。 まりさも女性に出産の祝辞を送った。 「おねえさん、あかちゃんうまれてよかったね。とってもゆっくりできるあかちゃんだよ。」 まりさはこの次、女性が笑いながら「ありがと、まりさ」と言うと思ってた。 だが女性からの言葉はなかった。一瞥しただけで再び男性の方に向き直った。 まりさは女性が返事をしてくれなかったことに少し不満だったが 女性が酷く疲れているのが見てとれたし、そのためだと思い深く考えなった。 「こりゃ・・・聞くまでもねぇかな。」 男性がボソリとそう呟いたが、まりさには聞こえなかった。 「じゃ・・・疲れてるところわりぃし・・・先生にも言われてるんで今日は帰るな。明日は仕事を休ませてもらってくるわ」 男性が席を立った。まりさも帰るために椅子から飛び降りる。 「あっと・・・そうだ・・・・・・ま、一応念のために・・・・・・」 男性はまりさに顎で合図をし、言った。 「おい、まりさ。先に病院の玄関で待ってろ。俺もすぐ行くから。」 「ゆっくりわかったよ。へやのそとでゆっくりまってるから、ゆっくりしないではやくきてね。」 まりさはそういって部屋から出て行った。 まりさが病院の玄関で待ってるとしばらくして男性がやってきた。 「ま、わかってたことだけどね。」 そういうと男性はまりさを連れて家に帰った。 翌日、まりさと男性は家を出た。 まりさはお姉さんと赤ちゃんに会うためだと思ってが 男性に連れられて来たのは別の場所だった。 「ゆ?おにいさん、ここはびょういんじゃないよ。ここじゃおねえさんとあかちゃんにあえないよ。」 疑問を口にするまりさを無視し、男性は入り口で受付を済ませ、建物の中に入っていった。 病院じゃないと気付いたまりさであったが、数ヶ月前に来て以来一度も来たことなかったので ここが初めて女性と会った場所だとは気付かなかった。 加工場とは。 「それでは。確かに返却受け付けました。」 「お願いします。」 「もし今後この子を正式に飼いゆっくりにしたい場合は、一週間以内に引き取りに来てくださいね。 一週間以内なら優先的に、かつ割引料金で引き取れますんで。」 「どうも。でもそれはないと思いますよ。これからは育児で忙しくなると思いますからそんな余裕ないですし、 家内もあまり未練はないらしくて、昨日の夜あっさりと了承してくれましたからね。」 「ははは、そういう人に限って後から寂しくなったと言ってくるケース多いんですよ~。 それで他の人と競っちゃうことになって高くついちゃったとか。」 「ははははははは。うちのに限ってそれはないですよ。もう既に手のかかるかわいいのが二匹もいますし。」 そのようなやりとりの後、まりさは加工場の職員に引き渡された。 「ゆ?おにいさん。これからおねえさんとあかちゃん、あいにいくんでしょ。まりさゆっくりつれてってね。」 「いままでありがとな。お前さんとの経験を生かして立派な子供に育てるよ。お前も頑張れよ。」 職員の腕に抱えられたまりさのそのような呼び掛けに対し、男性は前後の繋がらない返事をし、帰ってしまった。 「おにいさん、まってよ。まりさもつれってね。おねえさんとあかちゃんのところつれてってね。 おじさん、まりさをはなしてね。まりさはおにいさんといっしょにおねえさんとあかちゃんのところにいくんだから。」 まりさは姿の見えなくなった男性を呼び続け、次に自分を抱えて離さない中年の男性にもそう言う。 だが既にこの場にいない男性はもちろんまりさの呼びかけに答えることなど出来ないし、 まりさを抱えてる中年男性もまりさの言葉を無視し、まりさを抱えたまま、歩き始めた。 「どうじではなじでぐれないのおおおおおおお。ばりざもおねえざんとあがぢゃんのどころにいぐのにいいいい。」 しばらくしてまりさは中年男性の手の中でとうとう泣き出してしまった。 自分は一刻も早くお姉さんのところに行って、お姉さんと赤ちゃんに会いたいのになんで邪魔されなければいけないんだろうか。 答えの出ないまま、まりさは泣き続けた。 まりさを抱えた中年男性はある扉の前で立ち止まり、その扉をノックした。中から扉が開けられ、まりさは中にいた別の青年職員に手渡される。 まりさを受け取った青年はまりさを運んできた中年男性がドアを締めたのを確認した後、 扉から1メートルほどのところにある、人の腰ほどの高さの柵の向こう側にまりさを軽く放り投げた。 そして扉の傍にあった椅子に座り、読みかけていた本に手を伸ばし読み始めた。 「ゆっ!おにいさん。まりさはおねえさんとあかちゃんにあいにいくんだからはやくここからだしてね。」 体の自由を取り戻したことで幾分落ち着きを取り戻したまりさは青年にそう言った。 だが青年は答えず黙々と本を読み続ける。次第にまりさは言っても無駄だと悟り、黙った。 何もすることもなくなったまりさは、周囲を見回し始めた。 それなりに広い四角い部屋で扉はまりさが入って来たところ一つだけ。 壁は一箇所だけ長方形の枠にガラスらしきものがはめ込んであるが外は見えず、その壁以外何も無かった。 扉から1メートルほどのところにある柵で部屋は分断されてて、自分がいるところと青年が座って本を読んでる部分の面積比はだいたい4:1。 そして部屋の中には自分以外のゆっくりの姿が見えた。数にしてだいたい3匹ほど。みんな一様に沈んだ顔で泣いている。 おそらく自分と同じように飼い主から引き離されたゆっくりだとまりさは判断した。 その中で一匹だけまりさは見知ったゆっくりを発見した。親友のゆっくりぱちゅりーである。 「ぱちゅりー!?」 「・・・・・・まりざああ?・・・むきゅううううううん、どごなのごごはあああ、おねえざんはあああ、あがぢゃんはどごおおお?」 いきなり連れてこられた殺風景な部屋の中、親友の顔を発見したぱちゅりーはまりさに泣きついてきた。 ぱちゅりーの疑問に答えられずはずもないまりさは自分もつられて泣きたいのを堪えながら、泣き続ける親友の頭を抱き続けた。 それから一週間の間に連れてこられるゆっくりは増え、まりさとぱちゅりーの親友のゆっくりありすも連れてこられた。 まりさとぱちゅりーを前に気丈に振舞ってたありすだが、その目には涙が浮かび、絶えず一緒に暮らしてた女性とその赤ん坊のことを気にかけていた。 それから何日たっただろうか。連れてこられるゆっくりはいなくなり、次第にそれとは逆に部屋から運び出されるゆっくりが現れた。 「まりさああああああ、ぱちゅりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」 「まりざああああああああああああ、だずげでええええええええええええええええええええええええええええ」 まりさの親友のありすとぱちゅりーもある日部屋から運び出された。 何もわからない状況のまま、互いの支えであった親友の連れて行かれるのを、まりさは何も出来ず只泣いて見ていることしか出来なかった。 それがまりさが親友二匹の姿をその目で見た最後の日となった。 そしてついにまりさも部屋から運び出される日が来た。 まりさは自分を運び出しに来た青年職員を睨み付けた。 いつも泣いてた他のゆっくり達を、泣いてたまりさの親友二匹を、 へらへらと笑いながら部屋から運び出して言った青年をまりさは嫌っていた。 自分もへらへら笑いながら連れ出されるんだろうか。そんな思いを抱きながらまりさは青年を睨み付けた。 だがその日の青年の様子はいつもと違っていた。いつものへらへらとした笑いではなくとても沈んだ悲しそうな表情だった。 その表情に気圧され、まりさは睨みつけるのをやめた。 「・・・・・・一ヶ月もあったのに・・・なんでお前だけ・・・・・・・・・・・・」 青年はそう呟きながらまりさを運び出して言った。 重い足取りの青年に抱えられ、部屋を出されたまりさは透明な箱に入れられ、別の部屋も連れてこられた。 部屋の前方には机が一つ置かれ、脇に少数の職員がいた。 机から部屋の後ろまでは処狭しとたくさんの人が椅子を敷き詰め座っていた。 まりさは机の上に置かれた。部屋に集まった人の期待に満ちた視線がまりさに一斉に集まった。 「それでは・・・発表します。・・・・・・今回の当選者番号は・・・42番!42番!!! 42番の方、おめでとうございます!!!!!!」 その瞬間一人の歓声と大勢の落胆の声が漏れた。 まりさは透明な箱に入れられたまま、歓声を上げた男に引き取られた。 そして彼に抱えられ、加工場の外に出ることになった。 久しぶりに見る外の世界、太陽の日差しが眩しかったが、久しぶりの外に出られたことに感動して悪い気はしなかった。 これでおねえさんとあかちゃんのところにいける。 このおにいさんにかいほうしてもらったら、ゆっくりせずにあいにいこう。 まりさの頭は外に出れた希望で満ち溢れていた。 まりさが加工場から男性に連れられて一時間ほどして人里の中にある一軒屋にたどり着いた。 男の家らしく、懐から鍵を取り出して扉を開錠して開けると中に入り、再び鍵を閉めた。 そのまま廊下を渡ってある部屋のドアを開けて中に入ると、窓にも鍵がかかってることを確かめた後、まりさは箱から出された。 「ゆっ!おにいさん、あそこからだしてくれてありがとね。じゃ、まりさはおねえさんとあかちゃんにあいにいくから、ゆっくりとそとにだしてね。」 まりさは外に出すように催促したが男は答えなかった。 「ゆゆ~?おにいさん?」 返事を返さない男の顔をまりさは訝しげに覗き込む。 男は床の上にいるまりさを見つめながら、笑いをかみ殺したような顔をしている。 「おにいさん!きこえてるの?まりさをはやくここからだしておねえさんと───」 「無理。残念。キミは今から虐待。いっぱい苦しめてあげるね♪」 男はそう言ってまりさとのコミュニケーションを放棄すると、部屋の中にある机の引き出しから糸刺し(裁縫針を刺して保管する小さなクッション状のもの)を取り出すとそこから裁縫針を一本抜き出し、まりさを押さえつけて側面部をザクザクと針を刺し始めた。 「・・・・・・ぐびっ!?・・・ぎゅっ!・・・ゆぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 突然の出来事に思考が追いつかなかったまりさは遅れて絶叫をあげる。 「おひょおおおおおおおおお~~~~~、一気にいくよおおおおおおお!ザクザクザクザクザクザクザク~~~~~~!」 まりさの絶叫を聞いてエキサイトした男はヒートアップして更に勢いを増しながらまりさの体に針を刺し続けた。 裁縫針程度の穴では餡子も中々漏れず、例え赤ゆっくりであろうと中枢部を激しく傷つけない限りは死に至ることはない。 だが鋭利な針に刺されることはそのような生命活動への影響の少なさとは裏腹に、まりさに耐え難い激痛をもたらしていた。 「ぐぎいいっ・・・!やべっっ・・・!!!!いだっ・・・!あっ・・・!!!ゆぐぅっ・・・!!!!!えぐっ!・・・あぎっ!!!」 次第にまりさは絶え間ない激痛のために呂律も回らなくなっていってしまった。 「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・最初はこんなもんか・・・。挨拶代わりとしてはこれくらいでいいか・・・・・・。」 一分ほど針を刺され続けたころ、男性は息を切らしながら、そういってまりさを刺すのをやめた。 まりさの体は300を超える針穴でいっぱいになっていた。 「はぁ・・・・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・おーい、聞こえてるか~・・・まりさちゃ~ん・・・おーい。はぁ・・・はぁ・・・・・・」 床でピクピク震えてるまりさに対し、男は尋ねた。だが返事が中々来ないので男は少し待った。 やがて男の問いにしばらくしてまりさがわずかに反応した。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じで・・・」 「ん・・・?」 「・・・・・・・・・どうじで・・・ごんなご・・・・・・ず・・・の・・・・・?まりざ・・・なに・・・ぼ・・・わづいごど・・・じでな・・・のに・・・・・・・・・。」 精神力の限りを振り絞り、まりさはか細い声で今一番知りたい疑問を男に問いかけた。 自分は何も悪いことはしていないはず。だがもし自分が何か罰を受けるべき悪いことを知らないうちにしたのなら謝り矯正しよう。 人間と暮らしてきたゆっくりにとっては当然の保身の術であった。 その問いかけ対して男が答えた。 「ああ、まりさは何もしてないさ。何も悪くない。こんなことされる理由なんて何一つ無いよ。 でもこれからも同じことするからね。いっぱいいっぱい針でザクザク刺して上げるからね。 針で刺すだけじゃなくもっともっと痛くて痛くてたまらないことしてあげるからね。 まりさは何も悪くないけど、いっぱいいっぱい苦しめてゆっくり出来なくしてあげるよ。」 「ゆ・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆっ!?ゆううううううううううう!?どぼじでえええええええええええええええ!!!!!!」 男の言葉の理不尽さにまりさは泣き叫んだ。 「さ~て、それじゃ第2ラウンドと行こうか、まりさちゃ~ん。今度はどんな痛い思いしたいかな~?」 「ゆぐう・・・・・・いたいのやだぁ・・・・・・・・・おうちかえるぅぅぅ・・・・・・おねえさんのいえにがえるぅぅぅ・・・・・・・・・・・・・・・」 男の問いに先ほどの激痛を思い出したまりさは震えながら男に哀願する。 「だ~めだってば。まりさはこれからもっともっと痛くて苦しい思いしなくちゃならないんだから、 “おねえさん”のお家に帰ることも出来ないよ。」 「どおじでえええええええええええええええええ!!まりざわるぐないのにいいいいいいい。」 「悪かろうと悪くなかろうと痛い思いする。それがまりさちゃんの運命なんだよ。わかった~?」 男はそういって再びまりさを押さえつけた後、裁縫針をまりさに見えるように構えた。 先端の鋭利さがまりさに先ほどの激痛を思い出させた。 「だでがだずげでええええええええええええええええ!!!!!」 「それじゃこんどは顔面グッサグッサいこうか。痛いよ~。とっても痛いよ~。さっきよりもっと痛いからね~。」 「やべでえええええええええええええええええええ!!!!!」 まりさの脳裏に先ほどの耐え難い激痛が甦る。 そして男はまりさの顔面を再びザクザクと針で刺し始めた。 「ゆびぎゃああああああああああああああああ!!!!!!!!! まりさの絶叫が再び響きわたる。 針で刺される激痛でまとまらない思考の中で、まりさは必死に考えていた。 なんで自分がこんな目にあわなければならないのか。なんでお姉さんはこんな目にあってる自分をほったらかしにしてるか。 そして答えのでないまま、耐え難い激痛にまりさの思考は埋め尽くされていった。 数分して、男は手を止めた。 今度はしっかりとペース配分に気をつけたので、先ほどのようにすぐに息が上がることなく、数分間まりさの顔面に針を刺し続けることが出来た。 穴だらけの顔面でまりさは両目から絶え間なく涙を流し、「ゆびっ!・・・ゆぼっ!・・・ゆべべっ!!」と妙な声を発しながら痙攣していた。 痛みの許容量が限界を遥かに超えてしまっために、処理に脳が追いついていないのだ。 人間であるならとっくに気絶してもおかしくない激痛でも、ゆっくりの体と精神はそのような機能など持ち合わせていない。 いや、その言い方は正しくない。正確にはそれは既にまりさにとっては失われた機能だということだ。 以前のゆっくりは過度の苦痛に対しては気絶したり、場合によっては精神崩壊、発狂したりしていた。 愛する子供達を全て殺された親ゆっくりの精神崩壊や、姉妹が惨たらしく殺されてその恐怖で気絶する赤ゆっくりがその顕著な例である。 しかし近年のゆっくりの中にどのような苦痛に対しても、気絶や精神崩壊を起こさない個体があらわれたのである。 ゆっくりの研究者は、危険な外敵の前で気絶や精神崩壊を起こすことは生存の可能性を完全に潰してしまう命取りであるために 手足も鋭い牙ももたないゆっくりが自然で生き残るためのささやかな進化ではないかと唱えた。 痙攣して震えてる時点で生存確率にどの程度の差が出るのか聞きたいものだが。 当のまりさもそのようなタイプのゆっくりであり、苦痛に大して気絶も精神崩壊も発狂もしない。 この場合、「出来ない」と言った方がいいのかもしれないが。 故に痛みに対して精神と肉体を切り離すことが出来ず、無尽蔵に際限なく苦痛を溜め込んでしまう。 どんな苦痛だろうと気絶することが出来ないまりさは許容量を遥かに超えてしまった痛みに対して、 餡子で出来た脳が許容量を超えた分の痛みをゆっくりと処理していくのを、意識を保ったまま待ち続けることしか出来なかった。 絶え間なく耐え難い激痛がまりさの精神を蝕ばむ。まりさは一刻も早く苦痛から逃れられるよう願い続けた。 その苦痛は数時間続き、まりさは奇妙な声をあげながら痙攣して体を動かすことが出来なかった。 男はまりさを箱の中に入れ部屋を出て行った。こうして初日の虐待が終わった。 【前編】 終わり 【中編へ続きます】 中編予告 すっきり×赤ちゃん×同族殺し ゆっくりいじめ系1879 マタニティゆっくり 中編 1につづく このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5013.html
注意点一覧 俺設定先人様設定混在 虐待とはちょっと違うかもしれません ゆっくりできるゆっくりがでてきます 愛称のついた登場人物が出てきます みょんな技術をもった虐待お兄さんが出てきます。 ぺにまむ表現があります(ギャグ要素ですが) 上記注意点において「あ、読むのやめよう」という方はこのまま戻る推奨です。 「問題ない、それでも俺は読む」という方だけ下のほうへおねがいいたします。 ゆっくりが畑を荒し、人間の生活圏において害頭と認知されて久しい昨今。 二つの機関は悩みを抱えていた。 加工所とゆっくりんぴーす、本来水と油であるはずの二つの機関の悩み事・・・それはどちらもゆっくりに起因する。 甘味を提供する加工所としての悩み、それは一部の罪悪感を感じる職員たちのもの。 ゲス種であれば加工することに何ら迷いなどなかった。人間に迷惑をかける生物を利用して人間がゆっくりしてなにが悪いか? しかし中には、人間の畑を荒らすことを悪いと理解し、群れを止めようとした所謂頭のいいゆっくりや、人間との共存を望むゆっくりも居た。 畑の手伝いをするからご飯をちょうだいね!などはその最たる例と言えよう。 そうしたものまで含めて加工所につれてこられたからと、区別なく容赦なく加工した。 ・・・本当にそれでよかったのだろうか。 他の方法があったのではないかという悩みは、一部職員の間で膨れ上がった。 ゆっくりんぴーすとしての悩み、それは一部の真性の害しか成さないゲス種であった。 人間の畑を荒らさず、手伝う事で報酬として野菜をもらったりするゆっくりなどは積極的に保護できた彼らも、人間を使役する事しか考えない明らかな無能饅頭を保護する事に次第に疲れてきた。 保護のための資金とて無限にあるわけではない。中には子供を傷つけられた、最悪の場合失明や骨折、まだ幼い子供を殺された例とて非常に稀であるが皆無ではない。 それでも組織としてのあり方のために保護を続けるのかと生まれた迷い。 ゲス種まで保護し愛でる必要があるのか・・・? 無限に広い心などないように、彼らの心にも静かな怒りが芽生えていた。 それからほどなくして、ゆっくりんぴーすと加工所の合同集会が行われた。 本来それは、互いに敵対しあう組織の牽制合戦になるはずであった。 毎年行われた集会において、加工所の主張は一環して「ゆっくりは害頭であり加工処理すべきである」というもの。 対してゆっくりんぴーすの主張は「ゆっくりは愛でるべきである」だった。 しかし、長い時間を経ずして疲弊を見せ始めた双方はこのとき初めて、互いに妥協するという選択肢を選ぶ。 ゆっくりんぴーすはこのとき「ゲスは保護するに値しないが、人間との共存を望み知能の高いものは保護するべきである」と妥協した。 加工所はこのとき「ゲスは容赦なく加工処理するべきであるが、知能の高い優良種は加工せず保護してもいいのではないか」と妥協した。 こうして、双方の組織からの有志と代表を募り生まれた新たな機関。 それが、ゆっくりのゲス種淘汰、優良種選別を行う第三機関、選別社と呼ばれる組織である。 ゲス種を淘汰することで人間との関係を良好に保てる種だけを増やしていこう、という目論見が成功するかどうかは、まだまだ先の話である。 「で、アンタはあさっての方向向いてこの会社の設立の由来を誰に話してるの?」 「いや、それが俺にもさっぱり・・・まるで何かに操られていたような気分だ」 自分の理解できない行動に頭を掻きつつも虐打お兄さんと呼ばれる彼は怪訝な顔をした。 「どこぞのスキマ妖怪の仕業かしらねー」 私たちが今向かっているのは本日午前中の仕事をこなすことになる、第一選別室。 そこにはすでに数十匹のゆっくりが集められている。 私と隣に居る虐打お兄さんはこの選別社の社員でもある。因みに私は社内では切り裂きお姉さんと呼ばれている。不本意だけど、すっごく不本意だけど。 仕事は多岐にわたるのだが、通常業務においては、加工所から一概にゲスと呼べない微妙なゆっくりと、ゆっくりんぴーすからゲスと思われるゆっくりが送られてくる、それの選別業務が主よ。 基本的にゆっくりんぴーすからゲスとして送られてくるものは9割方全処理になるの。一月に1~2回ゲスでないものが混ざっていれば多いぐらい。 逆に、加工所から送られてくるゆっくりに関しては、非常に微妙なラインで選別がやや面倒くさい。加工所に送り返されると思って必死に優良種を演じる演技派が居る事も稀にある。 まぁ、そんなゆっくりを選別するためのプロフェッショナルが私たちってこと。 「・・・リップ、あさっての方向向いてなに仕事の内容話してるんだ?」 「・・・神には逆らえないわ」 「は?・・・神って妖怪の山のか?」 「いえ、もっと私たちの存在をつかさどってるほう」 「あぁ、あとお前が切り裂きお姉さんって呼ばれるのは当然の帰結だと「だまらっしゃい」」 私は不届きな事を言う虐打お兄さんの顔面に軽やかに拳をめり込ませる。女性への配慮が鳴っていないわね。 そんなことを言いながら気づけば第一選別室の前までやってきていた。 ああ、因みにリップというのは私の愛称。由来は・・・まぁ、推して知るべし。私としてはとても不本意です。 「それじゃ・・・」 「始めるとすっか」 部屋に入るとそこには大小さまざまなゆっくりが文字通りゆっくりしていた。 こちとら仕事中なのでイラっとくる。こいつら全部切り刻んでやろうかという衝動に駆られるが仕事なんだからちゃんとやらなければいけない。 私としても優良なゆっくりは人間社会に貢献させるべきだと思ってる。 ああ、最近はゲス種とかをコンポストとして利用する人も出てきてるのよね。大変環境に優しいとおもいます。肥とか食わせて餡子にしたら肥料としてはどっちが優秀なのかしらねぇ・・・。 「おら、おまえら。ちゅーもーくー!」 隣の虐打お兄さんが声を張り上げる。ゆっくりが一斉にこちらを向き、一割ほどがきょとんとしたふうにこちらを見、残りが敵意のある視線を向けてくる。まぁ、妥当な反応かな。 「ゆゆっ!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!じじいはさっさとでてってね!」 といってこの部屋のリーダーを気取っているまりさが前に出てくる。そして果敢にも虐打お兄さんに体当たりだー! 即座に掴み上げる虐打お兄さん。 「お前ら、ここがどこだか言ってみろ!」 「ここはまりざだちのゆっぐいぶれいずだよおおおおおおおお!ゆっぐりできないじじいはででげええええええええええ!」 「シャァラップ!」 ごすっ、という饅頭を殴ったにしては異常なヒット音にちょっと引く。 お兄さん曰く、虐待殴打48手皆伝打、中枢衝撃というらしい。食らったゆっくりは中枢餡に衝撃を受けてすさまじい嘔吐感と苦痛に襲われるらしいのだが、吐くという機能すら麻痺する為苦しむだけで吐けない、死なないという凶悪な殴打らしい。ていうか何処でそんな技学んでくるんですか。 「まりざああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」 「お前たちはここに来た時に言われたはずだ!ゲス種と一般、優良種の選別を行う、それまでの待機部屋であると!」 「そんなのしらないよ!れいむのまりさにひどいことするばかなにんげんはとっととでてってね!」 そう言って体当たりを始めるれいむ。こいつもこいつでバカね。元々身体能力の(饅頭にしては)高いまりさ種でダメなのに自分ならどうにかできると思ってるのかしら。 「スィットダァゥンン!」 ぱぁん!という、これまた饅頭を饅頭に打ち付けたとは思えないような小気味のいい音が鳴る。 虐待殴打48手の一つ、軟打衝破という技らしく、内部餡にダメージを与えつつも、皮を一切傷つけない技らしい。一度彼が宴会の席でこの技を披露していたが、宴会が終わるまでそのゆっくりはズダボロになりながらも綺麗な姿を保ったまま生存しつづけた。恐ろしい。因みに人間でも外傷よりも内部の病気のほうが気づかないため危険らしいです、おおこわいこわい。 「いいか!お前たちはこのままゲス饅頭と判別されれば加工所送りだ!」 「がごうじょいやああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 耳障りな絶叫しやがるなこいつら。とはいえ、序盤は全て虐打お兄さんに任せる事になっている。私の仕事は後半なのでそれまで高みの傍観だ。 「加工所が嫌ならお前たちが人間と共存できるゆっくりであることを証明して見せろ!」 「どうぢでえええええ!でいぶだぢゆっぐりじでるよぉおぉおおおおおお!!!!!!」 「ばりざだっでごんなにいげめんだよおおおおおおおおおお!!!!!!」 「ありずだっでごんなにどがいばよおおおおおおおおおお!!!!!!」 れいむ種とまりさ種は今回全滅かな、ありす種もダメそうねぇ・・・。向こうの方でちぢこまってるのは・・・ぱちゅりーとちぇんか。 お、私が見回してる間に虐打お兄さんに近づくありすが居るわね。 「おにいさ~ん、ありすのとかいはなまむまむをつかわせてあげるからゆっくりここからだしてね」 色仕掛けときたか、これは初めて見るわね。てか人間に饅頭のをどう使えと・・・。 「人間はっ!そんなことを求めてはいないっ!」 すかさずお兄さんはありすを掴み放り上げると目にも見えない(饅頭レベルで)左右の拳を連打する! 「まむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむまむ!!!!!!!!!!!!!」 おぉ、すごい。全ての拳がありすのまむまむを直撃している。 「ぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺに!!!!!!!!!!!!!!!!」 殴られているはずのありすはというと、真っ赤になって発情しているのがわかる。ナニコレ、どういう技なの? 「まむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺにまむぺに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 叩かれているありすが激しく痙攣する、絶頂寸前にしか見えない。なのになぜすっきりしない!? 「だがすっきりは許可しないいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「ゆぶっ!」 あ、まりさの近くに落ちた。 「まりざあああああああああ!!!!!!ずっぎりじまじょおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」 行動早いな!だがまりさは中枢衝撃の影響で身動きが取れない! 「ずうっぎりいいいいいいいいいいい・・・・ずっぎりできないいいいいいいいいい!!!!!???????なんでええええええええええええええええええ!!!!!!!!」 「虐待殴打48手秘儀、まむぺに連掌打。極限まで性欲を高めるが麻痺したまむぺにでは数日間すっきりは出来なくなる。他にも食らいたいありすはいるかっ!!!!!!!!!!」 何者だお前は。その服脱いだら星が7個刻んであったり首筋になんかアザあったりしないだろうな? 「さて、そろそろリップも始めてくれ」 「はいはい・・・それじゃ始めますかね・・・っと」 手にもった2m近い棒を強く振るうと同時に宣言する。 「スペルカード解放!斬閃「ゆっくリッパー」!」 宣言と同時にがしゃん、と棒の左右の先端から刃が飛び出す。 ニトリ印のこのアイテム、ゆっくりを切り裂く為に作られた私が特注した品である。ゆっくりを切り裂いても餡子一つつかず、長いため腰に負担もかかりません。さらにまだ機能があります、今日は使わないけど。 私がゆっくリッパーを持ってゆっくりのたまっている部屋の奥に踏み込むと、無謀にも近寄って威嚇してくるゆっくりと、警戒して後ろに下がるゆっくりの二種類に分かれる。 「あんたたちは何で前にでてきたのかな?」 「ゆっ!おまえをたおすためにきまってるんだぜばばぁ!ゆっくりしないでしね!」 大抵はこういう返事を返す。しかし稀に。 「ぱちゅりーをまもるんだよー!おねえさんはゆっくりできないからちぇんがまえにでるんだよー!」 という、けなげな発言をするのも居る。 ひゅん、という音と共にゆっくリッパーを振るう。 ちぇん以外のゆっくりが体の前の部分のあんよを失ったのを確認してちぇんを端にころがす。こちらは傷をつけていないのだが小気味よく転がってぱちゅりーの隣の壁にぶつかった。 「ゆぎゅああああああああああ!!まりさのあんよがあああああああああああああ」 「ありすのとかいはなあんよがああああああああああああああああ!!!!!!!!」 「わがらないよおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 あんよを餡子が出ない程度にそがれたゆっくりは大絶叫。うん、いい感触。 ゆっくりのこの皮を切り裂くのが、たまらなく気持いいのよねぇ・・・。あぁ~、濡れちゃいそう。 「ちぇんーーーーーーー!ゆっくりしてね!ゆっくりげんきになってね!」 おそらく番なのだろうぱちゅりがー必死にちぇんのそばに駆け寄る。けなげな事この上ない。だが判別はさっさと済ませたいのでぱちゅりーに近づくとけなげにちぇんが身体を起こしてぱちゅりーの前にでてきた。 「ゆっ、ぱちゅりーにはてをださせないんだよー!」 「健気ねぇ・・・ねぇ、ぱちゅりー。貴方どうして加工所から送られてきたの?」 「ゆっ?こたえたらゆっくりさせてくれる?」 「ぱちゅりー、しんじちゃだめなんだよー」 何気知能が高いな、このちぇん。 「答えなければこのまま永遠にゆっくりさせる、チャンスをあげるんだからさっさと答えなさい」 「ゆぅ・・・ぱちゅりーはむれのおさなのよ。でもむれのみんなをとめることができなくて、みんなにんげんさんのはたけをおそって、それでにんげんさんにつかまってしまったの」 なるほど、長とその番なら知能が高いのはよくわかる。そういえばさっきのまりさはゆっくりんぴーすから送られてきたゲスだったなぁ。 「なるほど、あんたたちはそっちに行きなさい」 といって左側の壁に向かうように指示する。逆らっても無駄だとわかっている二匹はおとなしく指示に従った。 他のゆっくりはことごとくゲスだった。 大半のゆっくりの足がことごとく削がれている。満足に歩けなくなったゆっくりたちはぎゃーぎゃー騒ぎながら抗議(この期に及んでもそんなことができるとはある意味対したものね)の声を上げていたり、逃げようとしているものが居たり。 そんな中ぱちゅりーとちぇんを回収すると私は次の工程に進むために別の部屋へと二匹を搬送する。 「あとは任せたわ」 「了解。皮の質が一定以下のものは全部殺処理でいいんだな?」 「構わないわ、皮剥ぎは後で一緒にやりましょう」 「心得た」 私が部屋を出てドアを閉める寸前、虐打お兄さんの楽しげな咆哮が聞こえた。 さて、ここで隔離したぱちゅりーとちぇんは次の部屋に運ばれる。 次の部屋では別の担当員が知能やら能力、振る舞いなどを調べることになる。 といってもここから先は私の担当でないのでよくしらないんだけどね。 と思ったら見学していかないかと誘われたのでどうせヒマだし見ていくことにした。今戻ってもどうせ虐打お兄さんがハッスルしてるだろうし。 虐待とかなんでハマるのかわからないわ。ちなみに私はよく虐待お姉さんと間違えられるけど、虐待趣味なんてこれっぽっちもない。 そんなことを考えていたら初老の男性とその助手っぽい若い女性がぱちゅりーとちぇんを輸送用の箱から取り出した。 「さて、これからキミたちにいくつか質問をする。素直に応えたまえ。いいね?」 「ゆうぅ・・・ゆっくりできないんだよー、しんようできないよー」 「ちぇん、ここはいうことをききましょう」 「ゆぅ・・・わかったよー」 素直だなー、このちぇん。ぱちぇも逆らっても無駄ってことを解ってるみたいだし、これは今回の保護はバッヂ持ちになるかもしれないわね。 「問い1.人間さんの畑からお野菜をもらう時にはどうする?」 「むきゅ・・・おてつだいをして、おだちんとしてもらうわ」 「では、どういったお手伝いをするかな?」 「ざっそうやおやさいをたべるむしさんをとるんだよー、わかるよー」 人間との関わり方や、してはいけないことなどをどのように捕らえているか確認していく。 「すごいですね、この番」 「そうだね。ここまで人間適正が高いゆっくりをみたのは久しぶりだ」 おびえながらも質問に応え続ける二匹は、次第に冷静さを取り戻していく。こうなると大抵のゆっくりは調子に乗りはじめるわけだが・・・。 「以上で質問は終了だ。疲れただろう、暫く休むといい」 そういって初老の男性は二匹をゆっくりすぺーすと書かれた個室に入れた。 中には並程度のゆっくりフードと木の実、そして食べられる野草などが用意されていた。 「さて、ここからは人間が居なくなった時の反応の検査をするんだ。人間をだまそうとして良ゆっくりの皮をかぶってるゆっくりはこの検査でほぼ確実に見つかるといっていい」 「なるほど、影で人間を馬鹿にするゆっくりが見れるわけですか」 モニターにはさまざまなゆっくりがゆっくりすぺーすでゆっくりしているのが映し出されていた。 ルーム1:まりさ&ぱちゅりー 「ゆっへっへ、ばかなにんげんどもはみごとにだまされてるのぜ」 「むきゅ~ん、さすがぱちぇのだんなさまなのよ。みごとなえんぎだったわ」 すりすりしながら中に用意されているエサをこれでもかと貪り、食べ尽くしたらえさを要求し始める番。突然奥の壁が開きすっ飛ばされて行った。行く先は皮の品質をチェックして選別する部屋らしい。 まりさ種は皮が比較的丈夫だから加工されるだろうけどぱちゅりーは生クリーム製造機かなー。 ルーム2:ありす単独 「なかなかとかいはなへやね、ごはんもおいしいわ。でもすっきりするあいてがいないのはとかいはじゃないわね。こんどにんげんさんがきたらすっきりあいてをよういしてもらうようにとかいはにこうしょうするわ」 こちらは部屋のドアに【要去勢避妊処置】とタグが貼られる。レイプ気質のあるありす種は大概このタグがつくそうだ。 ルーム3:れいむ単独 「ゆ~ん、おちびちゃん・・・」 こちらは事前の処置でおちびちゃんと引き離されたれいむらしい。傷心なのかエサも余り食べている様子がない。番はどうやらゲスだったらしく、子供にゲス気質が引き継がれていると面倒だからと子供は処理行きになったそうだ。 「む~しゃむ~しゃ・・・あかちゃんがいないからあんまり~」 こちらのれいむには【母性強】タグがつけられた。こうしたれいむ種は教育が済めば赤ゆっくりの育て親として重宝されるという。 ルーム4:ちぇん&ぱちゅりー 「むきゅ、ごはんさんがあるわ」 「だめだよー、ゆっくりできないごはんかもしれないからすこしまつんだよー」 といって草などを半分ちぎりさきにちぇんが食す。 「むーしゃむーしゃ、ごっくん。へいきー」 「だいじょうぶそうね、ぱちぇもいただくわ」 ちぇんが先に毒見をしてからぱちゅりーに分け与えるという事をしていた。この番はみていて癒されるわ・・・。 こちらの番には【野生化可・良番・妻思い】など複数タグが貼られる。 複数タグは相当珍しいらしく、興味深そうに観察していた。 こうしてこの部屋でゲスでないと判定されたゆっくりはさらに別の施設で野生に帰るか、人間社会で飼われる、あるいは共存できる地域に送られるかを自身で選択することになる。 共存を選んだ場合、人間との共存についての講習をうけ、講習結果に応じてバッヂを与えられることになる。 野生に戻る場合、ゲスでないという証明を飾りにつけられた後、人里近辺の優良なドスの管理する場所に送られることになる。 どちらに転んでも、ゲスでなければわりかし安定した生活が送れるのだ。 続く・・・ あとがき ゆっくりを加工する加工所 ゆっくりを愛でるゆっくりんぴーす この中間にあたるような組織があってもいいんじゃないかなー、とおもって生まれた発想がこの、ゆっくり淘汰選別機関、選別社でした。 あと、リップのキャラ設定については今回詳細にだしておりません。 虐打お兄さんに到っては突発的に思いついたギャグ要素でしかありません。 適当に続けてみようかとおもいます。 お付き合いいただければ嬉しく思います。 ps:リップの名前の由来はまんまです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5172.html
この森は平和だった。 人里近くゆえに天敵もすくなく、まだゆっくり被害も少ないため人間に襲われもしない。 普通のゆっくりにとっては理想的な森だった。 そして、この森に住む一組のゆっくり夫婦。 彼女らもまた、理想的なゆっくりだった。 とてもゆっくりしていて、やさしいれいむ。 とてもゆっくりしていて、ゆうきのあるまりさ。 この二匹は幼馴染であったが、気が付くと二人で一緒の巣に入り生活していた。 やさしく、頭も悪くないこの二匹は。まさに理想的なゆっくり夫婦だった。 だが、この二匹は完璧にゆっくり出来ているわけではなかった。 そう、子供がまだいないのである。けっこんしたばかりだからいないのは当然だ。 ゆっくりした二匹は当然子供をほしがった。 子供がいるとゆっくり出来るからだ。 だから二匹はすっきりした。 だが、どこぞのありすがレイプするのとは違う、とてもゆっくりした、ゆっくりできるすっきりだった。 「れいむ、いっぱいゆっくりすっきりして、ゆっくりしたあかちゃんをうむんだぜ」 す〜り、す〜り・・・ 「うん、わかったよ、まりさ・・・」 す〜り、す〜り・・・ お互い顔を赤らめながら、実にゆっくりと、相手に負担をかけないように顔をこすりあう。 2時間にもわたるゆっくりしたすっきり。 彼女達は、実にゆっくりした。理想的なゆっくりだった。 10日後 ゆっくりしたすっきりが功をなしてか、れいむはしっかりにんっしんを果たした。 普通、体内にんっしんをしたゆっくりは一週間で生まれるという。 れいむは少し遅い。いつ生まれてもおかしくない状態だ。 「れいむ!ごはんをあつめてきたんだぜ!」 今日もまりさがたくさんのごはんをもって帰ってきた。 とてもたくさんのごはん。とてもゆっくりしたりそうてきなゆっくりだからできる芸当だ。 「おかえりまりさ!とてもゆっくりしてるごはんだね!」 「れいむ、おなかのおちびちゃんはどうなんだぜ?」 まりさがれいむのおなかに耳を当てながら言う。 「とってもゆっくりしてるよ!さすがはれいむとまりさの・・・ゆ!?」 穏やかな顔で話すれいむの顔がきゅうに険しくなる。 「どうしたのぜ?まさかうまれるのぜ?」 「ゆぐぐ・・・まだだめだよおちびちゃん・・・!ゆっくりしてね・・・ゆっぐりじようねぇでええ!!・・・ふぅ・・・」 しばらく苦悶の顔で痛みと格闘していたれいむがまた穏やかな顔に戻る。 「おちびちゃんはすこしあせりすぎだよ!ゆっくりおかあさんのおなかのなかでそだってからうまれてね」 「ゆっくり、ゆっくりするんだぜ・・・」 穏やかな顔で生まれてくるであろう子供に語りかけるれいむとまりさ。 実に理想的なゆっくりである。 さらに三日後 「ゆぎいいいいいいいいいいい!?!?」 今までれいむが発したことのないような悲鳴。 「ゆゆっ!?どうしたんだぜ!?れいむ!?」 飛び起きたまりさがれいむに寄り添う。 「うまれるのぜ?うまれてしまうのぜ?」 「だめぇえええ!ゆっくりしてねぇええ!?!?」 自分が死にそうな激痛を感じながらも、子供を気遣い、ゆっくりするよう言い聞かせるれいむ。理想的なゆっくりである。 しかし、れいむの願いもむなしく、れいむのあごに産道が開き始める。 「れいむ!ゆっくっり〜だぜ!ゆっくっりぃ〜!!」 「ゆ・・・ゆっぐ・・・ゆぎいぃいいいいいい!?!?!?」 ぶびっ!!ぶりりりりっ!!ぶりゅううう〜!?!?!? まるで下痢のような音と勢いでれいむの産道から粘液が噴出す。 「ゆ・・・?」 「れいむ・・・おなかこわしてたのぜ?」 「まりさ、おちびちゃんは!?れいむのおちびちゃんは!?」 「まつんだぜ、れいむ、れいむはおげりさんを・・・ゆげぇえええ!?」 まりさが下痢だと思ったもの、それは確かにれいむの言うとおり、子供だったのだ。 とてもゆっくりした理想的なゆっくりの、とてもゆっくりした理想的な子供。 しかし、巣穴の壁にへばりついたのはみずみずしいスライムでしかなかった。 ぱっと見、下痢を壁にぶちまけたような感じ。しかし、壁にへばりついた下痢がボコボコ泡立ち、震えていること。そして二つの目玉が見えたことが、やはりれいむの子供であったことを物語っていた。 「むきゅう・・・れいむ、にんっしんしてからなんかいおひさまにあったの?」 まりさにつれてこられたぱちゅりーがれいむに質問した。 「かぞえきれないぐらいだよ・・・」 「かぞえきれないぐらいだぜ・・・」 れいむとまりさが答える・・・ 「あのね、れいむ。あなたのおちびちゃんはあなたのおなかのなかでゆっくりしすぎちゃったの」 「ゆっくり・・・しすぎた?」 理解できないことを言うぱちゅりー。 ゆっくりしすぎた? 「そう、おなかのあかちゃんはおひさまにはっかいぐらいあったときにうまれるのがいちばんいいの、ゆっくりできるの」 「それはどういういみなの!?」 「じゃあはっきりいうわ・・・あなたはゆっくりしすぎたのよ!!」 ゆがぁあああああああん!! ゆっくりしすぎると、ゆっくりできない。 それをしったまりさとれいむのとったこうどうはひとつだった。 スリスリスリスリスリスリスリスリスッキリ! スッキリィィィィ!! 「レイムスッキリシタネ!」 「キモチヨカッタヨマリサ!」 「ウムンダゼ!」 「ユックッリ!ユックリ!!」 ぶびっ!!ぶりりりりっ!!ぶりゅううう〜!?!?!? 「ナンデナンダゼ!?」 「ユックリシナイカラユックリデキルアカチャン!ウマレルンデショ!?」 「アリエナイゼ!」 「ユックリィィィ!?!?」 スリスリスリスリスリスリスリスリスッキリ! スッキリィィィィ!! ぶびっ!!ぶりりりりっ!!ぶりゅううう〜!?!?!? 「オカシイ!」 「ユックリシスギタラユックリデキナイ!」 「ユックリシナクテモユックリデキナイ!」 「モットハヤク!」 「スッキリ!」 「スッキリィイイイイイ!!」 理想的なゆっくりは、理想的過ぎた。